新世紀エヴァンゲリオン-if-

 第十六部 Iパート


 「…………これでいいです…………」 はぁ~~~

 と、こうしてネコ型美少女(?)が一人出来上がった。シンジにとっては
 不本意だが、思いっきり似合っていた

 「……しっかし、シンジって本っ当にこういうの似合うわね」 (アスカ)

 「全くね。良く似合ってるわよシンジ君」 (ミサト)

 「自分でも悲しくなってくる……」

 「碇くん……可愛い

 「や、やめてよ綾波」

 「いいえ、レイの言う通り、とっても可愛いわ。ああ、もう我慢できないわ!」

 だきっ

 「う、うわ!! ちょ、ちょっとリツコさん! な、な、なにを!?

 「くぉらぁーーー! この行き遅れの変態マッドサイエンティスト!
 何やってんのよ!! 離れなさい!!!」

 「リツコ、いい加減にしなさい!! レイの目の前でそんな事して、
 死にたいの!?」

 そう言ってミサトはレイの方を見る。レイは既に鞄の中から先ほどのナイフを取り
 出して構えていた。しっかり目は座っている。

 「ほら~~~リツコ、早くシンジ君から離れなさい、死ぬわよ」

 「……碇くんから離れて……」

 「あら、どこに行ったのかと思ってたらレイが持ち出してたのね。フフフ でも、
 こんな事もあろうかと思って」

 そう言うと、リツコはシンジに抱き付いたまま腕時計のスイッチを入れる。

 「あ」

 すると、レイの持っていたナイフがバラバラになってしまった。

 ホホホホホ! 私の作った物は私に逆らえないようになってる
 のよ。ホホホホホ!

 ごち!

 「痛いわね。何よミサト」

 「この銃はリツコの作った物じゃないのよ。さぁどうするのリツコ」

 「わ、分かったわよ……。離れればいいんでしょ離れれば……」 しぶしぶ

 シンジはようやく開放され、ほっと一息をつく。

 「シンジ、大丈夫? 何もされてない?」

 「碇くん! 早く病院に行って検査をしなくちゃ!」 おろおろ

 「あのね、人を病原菌か何かみたいに言うの止めてくれるかしら」

 「だったらバカな事してないでさっさと薬を完成させなさい!」

 「分かったわよ。あまりにネコ耳少女が可愛いかったから、つい我を忘れた
 だけじゃない。ちゃんと作るわよ」

 「赤木博士?」

 「何かしらレイ? ……そう睨まないでよ。もうしないから」

 「本当ですね?」

 「えぇ、本当よ。私も死にたくはないものね」

 「そうですか。では一つお願いがあります」

 「 私に? 何かしら?」

 「私も碇くんとお揃いになりたい。これ(ネコセット)下さい」

 「ええ!? 綾波?」

 「はぁ……レイ、あんた何言ってんのよ」

 「そうよレイ、これはシンジ君用に作ったんだろうから、それは無理よ」

 「あるわよ」 きっぱり あっさり

 「あるんかい!!」 (アスカ&ミサト)

 「ホホホ、こんな事もあろうかと用意しておいたのよ。さぁレイ、早く身に付けて
 みて。きっと良く似合うわよ」

 そう言ってリツコはもう一つネコセットを取り出す。

 「あ、そうそう、これを付けた時は語尾ににょとかにゃとか付けてね。
 あ、ハートマークもいいわね~~~」

 「リ、ツ、コ」

 「いいじゃない、仕事は楽しくやるものよ」

 「レイ、あんたほんとにそれ、身に付けるわけ?」

 「うん、碇くんとお揃いになるの」

 そう言ってレイは嬉しそうにネコ耳少女になっていく。

 「碇くん、似合うかな?

 そう言って、不安と期待の混じり合った目で、少しうつむき加減でシンジを
 じ~~~っと見つめる。

 「か、可愛い

 あまりの可愛さにシンジは思わず口に出してしまった。

 「ほんと? 嬉しい~~~!

 レイはぱぁ~~~っと笑顔を見せ、顔中が赤くなっていった。恥ずかしそうに、だが、
 とても嬉しそうに。

 「あ、いけない。 嬉しいにょ

 「か、可愛い

 頬を染め、喜ぶレイは凶悪なほど可愛らしく、シンジは目が離せず、また口に出して
 しまった。その言葉を受け、レイはますます赤くなり、ますます嬉しくなっていた。

 「……リツコ、私の分も当然あるんでしょうね?」 ジロリ

 「アスカ……あんたまで何言ってんのよ。今それどころじゃないでしょ」

 「ここで引き下がるわけにはいかないのよ! 女がすたるのよ!!
 リツコ、あるんでしょうね!? 無ければ今すぐ作りなさい!!」

 「もちろんあるわよ。ちなみに、別バージョンでウサ耳セットもあるわよ」

 「私はバニーガールになりたいわけじゃないの!! そうねえ、しなやか
 で気品があって、野性味溢れるネコ科の肉食動物……なんていいわね。今すぐ
 作りなさい」

 「あるわよ、ほら」

 「……毎度毎度なんだけど、リツコってほんっっっと、仕事の役に立たない物の
 用意がいいわね」

 「……それ褒めてるの? けなしてるの?」

 「もちろん、けなしてるのよ」

 「…………」

 「いいから早く貸しなさい!」

 そう言ってアスカはリツコの手からネコ耳セット(豹バージョン)を奪い、身に付け、
 早速シンジに見せつける。

 「ふふン、どうシンジ? 似合うでしょ (^_-)」←ウインク

 本人の言うように、どこか野性味溢れる雰囲気と、獲物(シンジ)を捉えて離さない
 鋭い視線、レイとは百八十度違うタイプの可愛さがあった。

 「うん……可愛い……

 またもシンジは見とれてしまい、思わず口に出す。

 そうでしょう、そうでしょう うんうん

 アスカは望んでいた言葉をもらい、クールに微笑んだ……つもりだったが、傍から
 見れば、レイと同じように耳まで真っ赤に染まり、ふにゃ~~~としていた。

 『やれやれ、アスカもまだ子供か。でも、ほんとにこんな事してる場合じゃないと
 思うんだけどな』


 ブチッ!! (リツコの理性の切れる音)


 「ああっ! 可愛いわ!! やっぱりこれこそ究極の美!! 人類は
 やっぱり進化を間違えたのよ。この姿こそ本来あるべき姿なのよ!
 全人類ネコ耳化計画の実行を早めなくては……。

 さぁあなた達、とりあえずこの首輪と鈴を付けなさい。そして、誰にも知られて
 いない、この地下室に入るのよ。大丈夫、心配しなくても過去の記憶なんて
 薬を使えば綺麗に無くなるわ。後は私に服従して一生過ごすのよ。

 さぁ、いざ行かん!! 愛と希望に満ちた理想郷へ!!

 スパーーーーーーン!!!!

 いつの間に装備したのか、ミサトは巨大なハリセンでリツコを壁まで吹き飛ばして
 いた。

 ぬわぁに考えてんのよあんたは! いっぺん死んでくる!?

 「あ、ほんとだ。こんな所に地下室の入口がある」

 「ミサト、いっぺんなんて言わずに永遠に殺すべきよ! そうだ、
 この地下室にリツコを放り込んで、硬化ベークライトで固める
 ってのはどう!? いっそ、硫酸でも流し込んで綺麗さっぱり
 溶かしてしまえばいいのよ! それが人類のためってもんよ!」

 「私もそう思います」

 「私も本っ気でそう思うわ。しかし、今日のリツコ、いつもに増しておかしかった
 わね。何かあったのかしら?」

 と、そこへ……

 「赤木君、薬はまだでき……」

 「あ、父さん」


 プチッ!!  (ゲンドウの理性(あるのかそんなもん)が切れる音)


 うおおおおおおーーーっ!!
 ユイーーーーーーっ!!!

 そう叫ぶと、ゲンドウは一瞬でシンジに飛び掛かった。


 <つづく>


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