新世紀エヴァンゲリオン-if-

 第十六部 Fパート


 「ごめんね碇くん、不自由だろうけど我慢してね。トイレは狭いから無理だけど、
 お風呂の中で転んだりしないように私も一緒に入るから。身体も洗って
 あげる。碇くんに不自由な思いはさせない。だから安心してね

 「えええっ!? そ、それはちょっと……」

 「あははは、レイらしいわ」

 レイ!! あんた何考えてんのよ!?

 「私は碇くんと一緒にお風呂に入りたいの」

 「う~ん、そのまんまね」

 「あのねレイ! 男(シンジ)と一緒に風呂に入っちゃいけないって
 何度も教えたでしょ!!」

 「でも今の碇くんは女の子。問題無いわ

 「大ありよ!! いくら身体が女になっても、心は男のままなのよ!
 そんなの認められないわ! 絶対に駄目!!

 「でも……」

 「でももストライキもないわよ!!」

 「う~~~」

 「う~~~ じゃない!!」

 「ふふふ、残念だったわねシンちゃん。せっかく女体の神秘をじっくり観察
 できるチャンスだったのにね」

 ななななな 何言ってんですかミサトさん!

 「照れない照れない。正常な若い男の子なんだから今の状況をチャンスと捉える
 のは当然よ。ま、アスカのガードが徹底してるみたいだし……今回は無理
 みたいね~~~

 「だ、だから僕はそんな事……」

 「そうよミサト! バカな事言ってんじゃないわよ! だいたい、そういう
 事言うとまたレイが……」

 「碇くん、女性の身体が見たいのなら私が……

 ほええっっ!?

 「ほら見なさい! 絶対レイがこういう行動に出るんだから! って
 こらレイ!! あんた何脱ごうとしてるのよ!? あんたもいい加減
 そのパターンやめなさいよ!!」

 「でも……」

 「いいから禁止!! 全部禁止!! 一緒に風呂に入るなんて
 もってのほかよ!! いいわね!!」

 「………………じゃあ、一緒のお布団で寝るのはいいよね。碇くん、今は女の子
 だし……いいよね?」

 「う。そう来たか」

 「ま、いいんじゃないそれくらい。シンジ君は今女の子なんだし、物理的にも問題
 ないだろうし……。今までだって同じ布団で寝てた事あるしね」

 「ほんとですか。ありがとうございます!」 にっこり

 「ミサト、なに無責任な事言ってるのよ! 一緒に寝てたったって、あれは
 寝てる間に動いてっただけよ。最初っから同じ布団だなんてそんな事……」

 「じゃあシンちゃん一人で寝させる? 手袋や目隠しなんて外し放題よ。近くで監視
 した方がいいんじゃないの?」

 「そ、それは……そうだけど……でも……」

 「言っとくけど、手足を縛るなんてのは人道上認めないわよ。さぁどうする、
 アスカ?」

 「う、うう……」

 「じゃ、決まりね」

 「はい!」 にっこり

 「……仕方ないわね。シンジを見張るためなんだから……ただそのためなんだ
 から……」 ぽっ

 「はいはい、そういう事にしといてあげるわ」

 『ほんと素直じゃないんだから。ん、ところでシンちゃんはどうなのかしら?
 さっきから一言も発言してないし……。あちゃ~ すっかり固まってるわね。
 ま、無理もないか』

 シンジは、レイが同じ布団で寝たいと言った段階で既にになっていた。

 その後も、ぼ~~~~~~っとしていたため、食事の準備をしたのかも、何を食べた
 のかも、どうやって風呂に入ったのかも全く覚えてなかった。

 気が付くと、自分の布団の中で両方にレイとアスカがいるという状態だった。

 もう少し詳しく説明すると、シンジを真ん中にして、レイとアスカが左右から
 それぞれシンジの腕を自分の腕+自分の胸で抱き抱えるようにして、身体を密着
 させまくっているといった状態である。この状態では、シンジは女になった自分の
 身体を触る事はおろか、一ミリも身体を動かす事ができず、硬直していた。

 ちなみに、シンジの両手を塞いでいるので安心したためか、アイマスクと手袋は
 外されている。もちろん、苦しいので晒も外されている。

 『…………どうしてこうなってんだろ…………? ? ?』

 レイの爆弾発言によって真っ白になっていたシンジの頭がようやく動き出した時、
 シンジは今の状態にようやく気が付いた。もっとも、両腕から伝わってくる温もり、
 感触、鼻をくすぐるレイとアスカの甘い匂いにくらくらしているのだが……。

 そんな状態のシンジを、ミサトは薄目を開けて見ていた。

 『……あの状態じゃシンちゃんの事だから一晩中寝られないわねきっと……。
 ま、一般的な男の子にとっちゃ両手に花、まさに天国状態なんだからそれくらい
 仕方ないわよね。将来のためにも、今のうちに慣れといた方がいいだろうしね。

 それにしても……う~ん……単にシンちゃんの手を封印するだけならわざわざ
 あそこまでしなくても、手を繋いで寝るだけでいいような気がするんだけど……。
 当然アスカだって気付いてるだろうし……。

 でも、ま、レイが迷う事なくシンちゃんの布団に潜り込んで嬉しそうに抱き付きゃあ
 アスカもそんな事言ってられないか。

 しっかし……アスカっていつの間にシンちゃんに自分の胸を押し付けるのが平気に
 なったのかしら? シンちゃんに他の女の身体(今のシンちゃんには自分の身体
 だけど)を触らせるくらいなら自分の身体を触らせた方がいいとでも思ったの
 かしら……。それとも、手のひらじゃなく腕だから問題無いとでも自分に言い訳
 してるのかしら? レイに張り合ってるとはいえ、アスカも結構やるわね。

 でも……これって……確かにシンちゃんは両手が使えないから、自分の身体を
 触る事はできなくなってるけど……レイやアスカの身体には触れるんじゃないの
 かしら……。あんなに身体を密着させてるんだし……腕に抱き付いてるわけ
 だから、シンちゃんの手の位置って……何かやばいような気もするけど……。

 ま、今のシンちゃんは手どころか指一本動かせないだろうから問題ないか。
 寝よっと

 (……いいのか、保護者)

 『……眠れない……眠れるわけがない……早く朝が来ないかな……』


 結局、シンジは一睡もできないまま朝を迎えた。前回の失敗があるので、今回は遅刻
 しないようにレイとアスカに声を掛け、起きる事にした。レイがなかなか腕を離して
 くれなかったが、朝ご飯の支度があるので渋々腕を離した。
 一睡もしていないシンジは寝不足でフラフラしていたが、レイ、アスカは非常に機嫌
 が良かった。特に、レイはシンジの目が寝不足で赤くなっているのを見て、自分と
 同じだとやけに喜んでいた。


 そして、食事も終わり、いよいよ登校時間がやってきた。

 「いい、あなた達。絶対にシンちゃんが女の子になってる事を気付かれちゃ駄目よ。
 二人でうまくフォローするのよ。もし気付かれでもしたら、それこそ大変な騒ぎに
 なるんだから」

 「もちろん分かってるわよ。ちゃんとフォローするわ」

 「分かりました。でも、大変な事ってどうなるんですか? 単にみんなが驚くだけ
 なんじゃないですか?」

 「甘いわよレイ、年頃の男子中学生の煩悩をなめちゃだめよ。いい?
 いきなり同級生の男が女になったらどうすると思う? それこそありとあらゆる
 要求をしてくるわよ」

 「そうなの?」

 「そうよレイ、特にシンちゃんは元がいいから美人になってるでしょ。これはもう、
 シンちゃんの貞操の危機なのよ」

 「そ、それはちょっと考えすぎなんじゃないですか?」 (シンジ)

 「甘い!! 『男同士なんだから隠すな』とか『友達だろ』とか『せっかくの
 チャンス』とか『独り占めしないで見せろ』とか言って間違いなく脱がされるに
 決まってんじゃないの。特に相田は危険よ。いいレイ、シンジが元の身体に
 戻るまでシンジを一人にしちゃ駄目よ。徹底的にガードするわよ

 「うん、いつもと同じでいいのね」

 「え? あ、そうか、そういえばいつもと同じか……」

 「いつも以上にくっついていればいいのね。嬉しい……」

 「あ、いや……それも困る。普通でいいのよ普通で。シンジも気を付けるのよ」

 「うん、僕も気を付けるよ。でも、髪も切ったし晒も巻いたし、多分大丈夫だよ」

 「とにかく、くれぐれも気を付けるのよ。私もネルフでリツコに早く薬を作るよう
 急かしておくから。もし早くできたら連絡するけど、連絡が無くても帰りにネルフに
 寄りなさい」

 「はい、分かりました。じゃ、行ってきます」

 「はい、行ってらっしゃい。気を付けてね」


 こうして、シンジ達は学校に向かった。

 ※ なお、話の展開上、トウジとケンスケは先に学校に行っています

 学校に着くまでは特に何のトラブルも無く、無事に学校に着いたのだが……

 「おはよー」

 ざわっ

 シンジが教室に入ると全員が入口に注目し、ざわつく。

 「な、な、何?!

 「……何や、シンジか。ワシはまた誰ぞ転校生が来たんかと思うたわ」

 「まったくだね。僕なんて思わず写真撮っちゃったよ

 「な、何言ってんだよ。ちょっと散髪しただけじゃないか」

 「それにしても相田、あんた転校生を見れば無差別に撮影するわけ? まったく変態
 なんだから」

 「無差別なんてとんでもない。僕が撮るのは美少女だけさ」

 「それを変態って言うのよ。なに自慢してんのよ」

 「しかしおかしいなぁ。この僕が男を撮るなんて……。

 『ま、シンジの写真は売れるから例外的に撮るけど……』

 僕の目が狂ったとは考えられないし……。あ、分かったぞシンジ。
 お前、性転換したな


 ギ ク ゥ ゥ ! !


 <つづく>


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