新世紀エヴァンゲリオン-if-

 第十六部 Eパート


 「とりあえず、リツコにはそれ相応のを与えないといけないわね……。レイ、
 何がいいと思う?」

 「私は……」

 「ちょっとアスカ、今のレイにそんな事聞いたら何言い出すか分からない
 わよ。レイに聞くのは止めた方がいいんじゃないの?」

 「う~ん、確かに……う~ん、何がいいか……あ、そうだ。いい手がある」

 「何?」

 「ミサトの料理を一週間連続で食べさせる。これは効くわよ」

 「ちょっとアスカ、何よそれ」 (ミサト)

 「私もそれがいいと思います」 (レイ)

 「ああ~レイまでそんな事を……」

 「は、ははは……」 (シンジ)

 『確かにこれは効くだろうな……ミサトさんの料理一週間か……。二度と悪さしない
 ほど懲りるだろうな……ま、自業自得か……』

 自分が被害者なので、普段温厚なシンジも結構酷い事を思っていた。

 「じゃあそういう事で。ミサト、よろしくね」

 「あのね……何で私の料理食べさせるのが罰になるのよ。納得のいく説明
 してもらおうじゃないのよ」

 「不味いからよ」 (きっぱり)

 「一週間連続……私は嫌……一日も嫌……碇くんの料理がいい……」

 「あ、あはは……」

 「ぐ……そ、そりゃあシンちゃんの料理に比べられちゃあ……」

 比べちゃダメです!! (きっぱり)

 「そ。レイの言う通りよ。じゃあこうしましょう。まずミサトが料理を作る。それを
 リツコに食べさせる。リツコが喜んで食べれば罰にならないからその場で終わり。
 嫌がったら罰になるから、一週間連続で食べさせる。これならどう?」

 「よーし、決めるのはリツコって事ね」

 「そういう事。その代わり、事前にこの事をリツコに話しちゃ駄目よ。いいわね」

 「分かってるわ。見てらっしゃい! 私の料理が不味くないって事を証明して
 あげるわ。付き合い長いんだからリツコの好みは知ってるし、絶対に美味い
 と言わせてみせるわ!!

 「ま、頑張ってね」

 『ふっふっふ……これでリツコは再起不能ね。解毒剤ができたら早速実行ね』

 『ミサトさんの料理……私は嫌……』

 『という事はリツコさん、最低一食はミサトさんの料理を食べるわけか……。ま、
 絶対美味しいと言うわけないし(ひでー)、七食食べるって事だな……。入院程度で
 済めばいいんだけどな……』

 ぜーーーっっったいに美味しいって言わせてみせるわ!!!
 見てらっしゃい!! (メラメラ)

 四人はそれぞれの思いを秘め、自宅へ帰って行った。


 そして、葛城家。


 「ふ~、何とか無事に帰ってこれたわね。シンジのこんな姿見られたら大騒ぎだ
 もんね。いいシンジ、明日、特に相田には気を付けるのよ。
 あいつ、妙に鋭いところがあるから油断しちゃ駄目よ」

 「でも、晒(さらし)巻くんだし……髪もいつものように切ったし……。分かんない
 んじゃないかな?」

 「とにかく気を付けるに越した事はないって事よ」

 「うん、気を付けるよ」

 「……それにしても碇司令の態度……シンちゃんってそんなにユイさんに似てる
 のかしらね?」

 「さぁ……僕、母さんの事、殆ど覚えてないし……写真も何も残ってないって
 言うし……」

 「あ、ごめん。嫌な事聞いちゃったわね」

 「いえ、いいんです。気にしないで下さい」

 「ところでミサト、あの下っ端ーズってヤツら、アテになるの? リツコはまだ
 のびてるだろうし、すごく不安なんだけど……」

 「う~~~ん。ま、人格的には問題があるけど一応ネルフの職員だし、腕の方は
 確かよ」

 「だといいんだけどね」

 「でも、碇くんが一番美人って言ってた……目はいいと思う」

 「そうね、確かにシンジ君は結構似合ってるわね」

 「や、やめて下さいよ!

 「いやいや、ほんと、冗談抜きで似合ってるわよ。シンジ君って普段からどっちかと
 いうと中性っぽいとこあるし、今は薬で骨格や顔の作りも少し女っぽくなってる
 し……ボーイッシュな女の子って事で結構もてるわよきっと。学校じゃばれない
 ようにしなくちゃね、シンジちゃん

 「もー! からかわないで下さいよ! 胸があるからそう見えるだけですよ。
 今から晒巻きますよ。そうすればちゃんと男に見えるはずです!!

 「まーまー、そう怒んないで。元が美男子だから女になって美少女になったって
 事よ。褒めてんのよ」

 「僕にとっては単にからかわれてるだけですよ。晒巻きます」

 「あ、シンジ、ちょっと待って」

 「え、何、アスカ?」

 「レイ、準備はいい?」

 「ええ、いいわ」

 「ん?」

 「シンジ、ちょっと目を閉じて」

 「え、何で?」

 「いいから閉じるの」

 「? ? ?」

 良く分からないままシンジが目を閉じると、アスカはシンジにアイマスクを付け、
 その上から更にタオルを巻く

 「うわ! 何だよこれ!? ちょ、ちょっとアスカ!?」

 「いいからおとなしくしてなさい。すぐに終わるわよ」

 そんな二人のやり取りを聞きながら、レイはシンジに手袋をはめていく。

 「こ、今度は何?」

 「大丈夫よ碇くん、ただの手袋だから」

 「手袋? ? ?」

 「ちょっとあなた達、一体これはどういう事?」

 「決まってんじゃん。シンジが自分の身体を見たり触ったりできない
 ようにしてるのよ」

 「ああ、なるほど」

 「文句無いわね、シンジ」

 「はぁ~~~ もう好きにしてよ」

 「じゃあ早速 晒巻くわよ。シンジ君、シャツ脱いで」

 「え? こ、ここでですか?」

 「当ったり前じゃないの。その為にシンジ目隠ししたんじゃないの。それとも何、
 一人部屋でじーっくりと晒巻きたいとでも言うわけ?」

 「そ、そんなつもりは無いけど……」

 「じゃ、いいわね」

 「はい…………」

 仕方なくシンジはシャツをめくる。

 「おおーーー! ちゃんとした胸になってる。結構大きいし、形もいいわね。
 私には負けるけど

 「ミサトさん、恥ずかしいですからジロジロ見ないで下さいよ。早く晒巻いて
 下さい」

 「いいじゃないの、女の子どうしなんだし、照れない照れない。ちょっと
 触ってみようかしら

 「や、やめて下さいよ!

 「ミサト!! バカな事やってんじゃないわよ! リツコと同類
 わけ!?」

 「やーねー、リツコと一緒にしないでよ

 「だったらバカな事言ってんじゃないわよ!!」

 そんな二人をよそに、レイは黙々と晒を巻いていった。

 「碇くん、大丈夫? きつくない?」

 「少しきついけど仕方ないよね。膨らんでちゃばれちゃうし……我慢するよ」

 「ごめんね」

 「あ、綾波が謝る事じゃないよ。ところで、もうこの目隠しと手袋取ってもいい
 の?」

 「うん、今外すね」 しゅるしゅる……

 シンジは、晒を巻いて胸を押さえた事で、ようやく男に見えるようになっていた。

 「ふーやっと自由になった……。うん、女には見えないな」

 「シンジ、今は外していいけど、トイレや風呂に入る時はまた目隠しと手袋は付ける
 わよ。ま、風呂に入る時は晒は取ってもいいけどね」

 「ええっ!?」

 「当たり前じゃないのよ。そのための目隠しなんだから」

 「とほほ~~~」

 『う~ん、アスカって徹底的にシンちゃんに女の裸……ま、今のシンちゃんに
 とっては自分の裸だけど……を見せないつもりね。ま、無理もないか……』

 「ごめんね碇くん、不自由だろうけど我慢してね。トイレは狭いから無理だけど、
 お風呂の中で転んだりしないように私も一緒に入るから。身体も洗って
 あげる。碇くんに不自由な思いはさせない。だから安心してね

 「えええっ!?」


 <つづく>


 ……何か、いつも同じ引きのような気がする。まぁいいか(笑)


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