新世紀エヴァンゲリオン-if-

 第十五部 Gパート


 「……というわけで、あなた達三人は定期的に同じ部屋で
 寝る事となりました。もちろん、拒否する事もできるわよ。
 何か質問は?」

 「ありません」 きっぱり (レイ)

 「ミサトもいるんでしょ。それに命令なら仕方ないわね」 (アスカ)

 『そうよ、命令なんだから仕方ないのよね』

 「は、はぁ……僕は……別に……構いませんけど……いいの、二人とも?」

 「うん、いいの」 にっこり

 「ミサトの話聞いてなかったの? 命令に従うのがパイロットの義務よ」

 『いいじゃないのそれで』

 「でも、拒否してもいいって……」

 「拒否する気なわけ?」 『嫌なの?シンジ』

 「そうなの? 碇くん……」 くすん 『そんなの嫌……』

 「い、いや、そんな事ないよ」

 「ならそれでいいじゃない」 ほっ

 「良かった」 ほっ

 『ま、シンジ君が二人に押し切られるのは確実だからこうなるとは思ったけどね。
 ……シンジ君も男の子だし、美少女三人と同じ部屋で寝られるんだから断る
 はずないわよね』

 口に出すとアスカが確実に突っ込みを入れそうな事をミサトは本気で思っていた。

 「じゃあ三人ともOKって事ね。早速今日、リビングで寝るから後で布団持って
 来なさい」

 「え? リビングで寝るんですか?」

 「そ。前にレイの部屋で寝た時、さすがに四人はきつかったから ここの方がいい
 でしょ。それともシンちゃん、前のようにレイの部屋の方がレイやアスカに密着
 して眠れるからそっちの方がいいのかなぁ~~~?」

 「な、な、何言ってるんですかミサトさん! ぼ、僕は別にそんな
 事言ってないじゃないですか! リビングでいいですよ

 「いや~ほんと、シンちゃんってからかいがいがあるわ。耳まで真っ赤
 しちゃって」

 「ミサト、バカな事言ってんじゃないわよ。まったく、いつまで経っても成長しない
 んだから」

 「あの……私、碇くんのそばで密着して眠れるのなら……私の部屋の方が……
 その……いいですけど……」

 「え? えええっ!?

 「な、何言ってんのよレイ!?

 「……相変わらずレイって自分に正直ね。思った事をすぐ口にするし……。でもね
 レイ、この前レイの部屋で寝た時、レイはベッドの上で寝てたでしょ。だからシンジ
 君はレイのベッドにもたれて眠ったの。で、アスカはそのシンジ君にもたれて眠って
 たのよ。だから、シンジ君に密着してたのはアスカなのよ」

 「ちょ、ちょっとミサト!

 「ミサトさん~(泣)」

 「碇くんに……もたれて……密着……。アスカ、そうなの? いいな……」

 「あ、あれはミサトがそうしろって言ったからよ。だいたい、レイだってシンジの
 腕枕で寝てたじゃないのよ」

 「でも、あれは私の意志じゃなく、寝てる間に転がっていっただけよ。アスカは
 自分から碇くんにもたれて眠ったんでしょ」

 「う。そ、それは、その……」

 『そりゃ、手も繋いで眠ったけど……これは極秘ね』

 「碇くん」

 「は、はい」

 「今度私の部屋で眠る時はベッドの上で一緒に寝ようね♥」 ぽっ

 !!…………」


 石になるシンジであった。


 「ぽっじゃないわよぽっじゃ!! おまけにどこから拾って来たのか
 知らないけどハートマークまで出してきて! レイ、あんたそろそろ
 常識ってもんを理解しなさいよ! そんな事したらどうなると思ってん
 のよ!?」

 「 ……どうなるの?」

 「ど、どうなるって……そ、その……だ、だから……」

 「ちなみにレイ、シンちゃんと一緒に寝てどうしたいわけ?」

 「どうって……一緒に眠りたいだけですけど……。何か他にあるんですか?」

 「…………ね、ねぇアスカ、ちょっといい?」 ひそひそ

 「……何よミサト?」 ひそひそ

 ※ 以下小声で

 「レイって……ほんとにそれ以上の事考えてないの? 学校でそういった事習わ
 なかった?」

 「一応習ったけど……窓の外でも見てたんじゃないの? あの時、男子はマラソン
 だったから、ずっとシンジを見てたんだと思うわ。レイって、ほんとシンジの事以外
 興味示さないから……」

 「でも、レイってテストの成績いいじゃない。知識としては覚えてるんじゃない
 の?」

 「その知識が自分にとって関係あると思ってないんじゃないの?」

 『その方が助かるけど』

 「でも、前に碇司令が孫を楽しみにしているって言った時、赤くなったじゃ
 ない」

 「あれは多分、”碇司令の孫=シンジの子供=シンジと結婚”っていう方程式が
 成り立ったのよ。レイにとって、子供って結婚すると自然にできるもの
 という認識があるみたいだから……」

 「まさか……いくらレイでも……。近頃の小学生でも知ってるわよ。……本当に
 知らないのかしら?」

 「多分ね。少女マンガじゃそういうの載ってないし」

 「なるほど……レイならあり得るわね……。まあ、今の所はレイにはその気が
 無い……というか知らないって事ならアスカも安心ね」

 「ミサトが余計な事教えなきゃね。レイは素直な分、暴走する所があるんだから、
 変な事教えないでよ。変なマンガも見せないでよね。あーいうのって偏った知識を
 与えちゃうから」

 「はいはい、確信に迫るような事は控えておくわ」

 『私も長く楽しみたいしね』

 ※ 小声終わり

 「あの……ミサトさん、アスカ、どうしたの? 碇くんも固まってるし……。私、
 また何か間違えたの?」

 「う~~~ん……。あれだけの爆弾発言をしておいてこれとは……。無邪気な分、
 余計に怖いわ」

 「レイ、間違っても今みたいな事、学校じゃ言っちゃだめよ。もちろん四人で寝てる
 事も喋っちゃだめよ。いいわね? でないと大変な事になるわよ」

 「う、うん。分かった、そうする」

 「じゃあ、四人で寝るのはリビングって事でいいわね」

 「…………」

 「レイ、そう恨めしそうな目で見ないでよ。それに、これはレイのためでもある
 のよ」

 「私のため?」

 「そ、レイのため。だって、ベッドで二人を寝かすわけにはいかないけど、みんなで
 床に布団敷いて寝るって事は、レイの、得意技が使えるのよ」

 「私の得意技?」

 「そ、段差が無いという事は、寝てる間に転がっていけるって事よ。二人で
 一緒に寝るのは認められないけど、寝た後の事なら仕方ないものね」

 「あ……。はい、分かりました!」 にっこり

 「レイ、言っとくけど、あくまで寝た後の事よ。寝相なら百歩譲って認めても、
 わざと転がっていくような真似はするんじゃないわよ。レイはそんな子じゃない
 わよね? ね? ね?」

 「うん、分かってる」 にこ

 「ほんと、約束できる?」

 「うん。私、約束は守るし、しちゃいけない事はしないから」

 「良かったわねアスカ、レイが素直な子で。レイが眠るまで見張ろうとか思ってたん
 だろうけど、その必要は無いみたいね」

 「そうね、レイは約束守るものね」

 「……でも、布団は碇くんの布団にくっつけてもいいんでしょ?」

 「う……そう来たか」

 「あはははは! アスカ、一本取られたわね。ま、それ位ならいいわよ。
 アスカはどうする? ……って聞くまでもないか」

 「当ったり前じゃないの。シンジ(レイ)がレイ(シンジ)にちょっかい出さない
 ように見張るのが私なんだから。離れてちゃ意味が無いじゃないの」

 「ま、そういう事にしといてあげるわ」

 「ちょっかいって何?」

 「いいの、レイは気にしなくて。それより晩御飯の支度してよ。シンジはどうせ
 あと二~三時間固まったままだろうし」

 「碇くん、どうしてこうなっちゃったの?」

 「疲れてるのよきっと。だから、悪いけど今日の夕食はレイが作ってくれる?」

 「はい、分かりました。碇くん、ゆっくり休んでね」

 そう言うと、レイは夕食の準備に取りかかった。


 「……ほんとに素直ね。悪い奴に騙されなきゃいいけど」

 「それは大丈夫よ。あそこまで人を疑わない素直な性格って、かえって騙せない
 ものよ。それに、レイはずっとシンジ君の側にいるだろうし、アスカだって側に
 いるんだから大丈夫よ。さ~てと、私はちょっと仕事の片付けがあるから自分の
 部屋にいるわ。何かあったら呼んでね」

 「じゃあ私はテレビでも見るとするわ」

 アスカはその場に寝ころんでテレビを見始めた。シンジはというと、食事まで
 ず~~~っと固まったままだったという……。


 そして、特に何のトラブルも無く、四人は眠りに就いた……いや、いつもなら
 真っ先に眠るはずのミサトがまだ起きていた。

 どうやら、(予想通り) 何か企んでいるようである。

 『……この寝息からして三人とも寝たようね。さ~てと……

 BGM:ジョーズのテーマ(古いって(^^;)


 <つづく>


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