新世紀エヴァンゲリオン-if-

 第十五部 Aパート


 2年A組、シンジ達のクラスでは授業の後、HRが行われていた。

 「あー皆さん、つい先日の会議で、校内撮影大会を開始する事が決まりました」

 「校内撮影大会~!?」×大勢

 「はい、この街の復旧も終わり、整備も進んできてますから、新しく大勢の人々が
 移り住んできています。それに伴って、転校生、また、来年には多くの新入生が
 入ってくる事になっています。そこで、学校として そういった生徒の皆さんや
 ご父兄の皆さんに この学校の事を理解し、安心して入学して来られるように、
 新たに学校紹介のパンフレットを作成する事になったんです。

 そこで、あなた達生徒の自主性に任せようという事になり、パンフレットに使用する
 写真を皆さんに撮影して頂こうという事になりました。カメラは学校側が貸し出し
 ますが、特に自分のカメラを使用しようとする方はそれでも結構です。

 なお、場所は校内、被写体は生徒、もしくは先生方です。優秀作は発表しますし、
 ちゃんと図工(あるのか?)の点にもなりますので、皆さん頑張って下さい」



 「来た!!! ついに僕の時代が来た!! 先生、ありがとう
 ございます! 僕は一生先生についていきます!!

 (誰のセリフか書くまでもないな)

 「そうか、そうかね! くぅうう! 教師生活二十五年、これほど生徒に喜ばれた
 事はない。ああ、教師やってて良かった」

 初老の担当教師はひとしきり感動した後、教室を出て行った。残った生徒達は当然
 のように大騒ぎである。

 「ケンスケ、えらい張り切りようやな」

 「ふっ、当然じゃないか。今張り切らないでいつ張り切るというんだ。
 ふっふっふっ。優勝はもうもらったも同然だから、後はいかに華麗に、かつ
 完璧に勝利するかだな。ああ、血が騒ぐ!

 「ま、ケンスケらしいわな」

 一人燃えるケンスケを、やれやれといった風に見ていたトウジは、ふとシンジの方を
 見る。

 「ねーねーシンジ、当然私を撮影してくれるわよね」

 「碇くん、私も私も」

 「あ、モデルになってくれるの?」

 「当然じゃない」

 「碇くんも私のモデルになってね」

 「え? う、うん。僕で良ければ」

 「シンジ、モデルがいいんだからちゃんと綺麗に撮りなさいよ」

 「ははは、頑張るよ。でも僕、カメラなんてほとんど触った事無いから、ちゃんと
 撮れるかどうかちょっと不安だな」

 『変に撮るとアスカ怒るだろうし……』

 「ふっ……シンジ、心配するな。カメラの事ならこの僕、相田ケンスケ、
 相田ケンスケをお忘れなく! ばっちり指導してやるから何も心配も
 いらないさ」

 「あ、ケンスケ。教えてくれるの? 助かるよ」

 「なぁに、親友が困ってるのを放っとけるわけないだろ。当然の事さ」

 「へー、あんたにしてはまともな発想ね」

 「相田くん、ありがとう。碇くん、良かったね」

 「うん」

 「ところでシンジ、親友が困ってたら当然助けてくれるよな?

 「え? そりゃまぁそうだけど。ケンスケ何か困ってるの?」

 「ああ。一つ、深刻な問題を抱えてるんだ」

 「何? 僕で良かったら相談に乗るよ」

 「そうか。いやーさすがシンジ、持つべきものは親友だな、うんうん」

 「で、何?」

 「モデル貸してくれ」

 「へ?」

 「つまり、僕にはカメラの腕があるがモデルがいない。シンジにはモデルがいるが
 カメラの腕が無い。つまり、交換条件が成立するってわけさ」

 「あんたバカぁ!? なんでこの私があんたなんかのモデルをして
 やんなきゃなんないのよ!?」

 「ほほう、つまり、シンジではこの僕に勝てないと認めるんだね」

 「なんでそうなるのよ!?」

 「だってそうじゃないか。君達をモデルに使えばどんなにカメラの腕が悪くても
 上位入賞は間違いないだろ。だけど、それでは実力とはいえないんじゃないかな。
 公平な条件、つまり同じモデルを使ってこそ、純粋にカメラの技術の勝負といえる
 だろ。それを拒否するということは、シンジでは僕に勝てないと認めるって事に
 なるだろ。違うかい?」

 「碇くんは負けないわ」

 「そうよ、シンジがあんたなんかに負けるわけないじゃないのよ」

 「じゃあモデルの件はOKだね」

 「ぐ……分かったわよ。その代わり、ちゃんとシンジに教えるのよ。
 手ぇ抜いたりしたら承知しないわよ! いいわね!!

 「ああ、もちろんさ。カメラの事に関しては僕は一切の妥協をしない。教える以上は
 徹底的に教えるさ」

 「嘘ついたらコロスわよ」

 「分かってるさ。じゃあ交渉成立だね」

 「……ケンスケ、良くやった!」

 「さすがは我らのケンスケだ!」

 「今日の帰り、何かおごってやるぞ!」

 「え? え?」

 「いや~ 俺達もモデルに困ってたんだよなぁ~~~」

 「ほんと、助かるよ」

 「ちょ、ちょっと、なんであんた達のモデルしてやんなきゃなんないのよ?」

 「公平にやるんだろ」

 「シンジが一番になると信じてるんなら別にいいだろ」

 「それとも、俺達に負けると思ってるのかなぁ~~~

 「こ、コイツら~~~

 「別に構わないわ、碇くんは負けないもの。でも、碇くんのいるところでしか
 モデルにはならないし、最初は碇くんに撮ってもらう。私は碇くんのモデルだから。
 それが嫌ならモデルにはならないわ。それでいい?」

 『う~ん……さすがはレイ、ストレートな言い方ね……』

 「ま、今レイが言った通りよ。文句は無いわね」

 「ああ、別に構わないさ」

 「それと鈴原、あんたは私たちの撮影禁止よ、いいわね」

 「なんでや!? なんでワシだけのけもんにするんや!?」

 「うるさいわね! とにかく禁止なの! あんたはヒカリにでも
 頼みなさい!」

 「へ? イインチョに?」

 「あ、アスカ、何言ってるのよ!?」

 「どうする鈴原? クラス中の男で一人だけ女子の写真撮れないんじゃ、きっと
 恥ずかしいわよ~。ヒカリなら優しいから、頼めば撮らせてくれるんじゃないの。
 頼んでみたら? ね、ヒカリ」

 「え、え、わ、私は……その……鈴原が困ってるのなら……あの……
 別に……」

 「そ、そうか、スマンなーイインチョ。ほな、頼むわ……よろしゅう……」

 「う、うん」

 『ありがとう、アスカ』

 『ふふん、ま、うまくいったようね』


 「ところでシンジ、モデルは公平になったが、もう一つ条件がある

 「え、何?」

 「あんたねーずうずうしいわよ! ここまで譲歩してやってんのに、まだ
 あるわけ?」

 「これで最後だよ」

 「何?」

 「自分の立場を利用するなって事さ」

 「立場?」

 「そう! 同棲してるという立場を利用して、私服、水着、あまつ
 さえ下着姿や裸なんてものを撮ってきたら、どうなるか分かってる
 んだろうな、シンジ!!」

 ケンスケ、及びその他の男子生徒は凄まじい形相でシンジに迫る。

 な、な、何だよそれ!? そ、それに同棲って……」 真っ赤

 「あんたらバカぁ!? 学校に出す写真に裸撮らせる女がどこに
 いるってーのよ!?」

 「……意味信な発言だな」

 「ああ、学校に出さなければ裸でもいいという事か?」

 「な!?」

 「それに、私服、水着、下着姿については反論さえしていない。シンジ、これは
 一体、どういう事だ?」

 「ど、どういう事と言われても……」

 「私は碇くんが望むのならむぐ……

 「ややこしくなるからあんたは黙ってなさい!」

 「シンジー! てめぇってやつはーーー!?」

 「この場でオレがとどめを刺してやる!」

 「わー! 違う、違うって! 誤解だよ! だいたい、写真撮るの校内だろ。
 制服に決まってるじゃないか」

 「ん、そう言えばそうか。確か校内って言ってたな……」

 「だがシンジ、無理に制服にこだわる事はないぞ」

 「え?」

 「ブ、ブ……ブルマー姿もいいぞ」

 「いや、ここは思い切って……ス……スクール水着も萌えると思うぞ」

 「いやいや、調理実習のエプロン姿もなかなか……」

 「……モデルやめるわよ」

 「そういうのは碇くんだけ」

 「シンジ! てめーやっぱり!」

 「だから誤解だってば!」

 「まぁいいだろ。このままでは来週まで話がまとまりそうにないからな。じゃあ、
 服装は制服という事で固定しよう。いいな、みんな?」

 「シンジ一人がいい思いするよりはマシだな」

 「ああ、それで手を打とう」

 「まったく勝手な連中なんだから……」

 「じゃあ話がまとまったところで、碇君、私達のモデルやってくれない?

 「え、え!? ぼ、僕が!?」

 今度は女子の方がシンジに言い寄ってきた。

 果たして、レイ、アスカ、男子生徒一同の反応やいかに!?


 <つづく>


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