新世紀エヴァンゲリオン-if-

 第九部 Fパート


 シンジ達が学校に行っている頃、ネルフ本部内の司令室の中では、リツコとミサトが
 今回の旅行に関する報告を行っていた。

 「……と言う訳で、シンジ君、レイ、アスカ、三人とも心から楽しんでいたよう
 です。今後もこういった旅行を定期的に行うのが、心理的にも良い影響を与えるの
 ではないかと思われます」

 「恐らく、シンクロ率にも良い影響が出ていると思われます。技術部としても、作戦
 部の意見に賛成します」

 「……そうか、許可しよう」

 ゲンドウはやや考えてから、おもむろにそう答えた。

 『良かったわねミサト、あの子たち喜ぶわよ』 ひそひそ

 『ええ、そうね。それに私たちも保護者として、ネルフのお金で遊べるしね』 ひそひそ

 「? 何かね?」

 「い、いえ、何でもありません」

 「あ、そうだ。碇司令、これ、旅行の写真やビデオです。どうぞご覧下さい」

 そう言ってリツコはごまかすように、慌てて大量の資料(?)をゲンドウに手渡した。

 「うむ」

 「…………」

 「…………」

 「何かね?」

 「あ、いえ、ご覧にならないんですか?」

 「ああ、今忙しいのでな。後で見させてもらおう。ご苦労だった、下がりたまえ」

 「は、はい、失礼します」

 そう言って、ミサトとリツコは後ろ髪を引かれる思いで司令室を後にした。

 「ねぇリツコ、碇司令って今そんなに忙しい? そうは見えなかったけど……」

 「そうね、あれはどう見ても、私たちの前で写真を見たくないって態度
 だったわね。自分がどういう反応するのかくらいは知ってるみたいね」

 「そうなるとますますどんな顔するのか見てみたいわね。……ねぇリツコ、この
 部屋の中覗けないの?」

 そう言ってミサトは扉を指差す。

 「無理よ、いくら私でもさすがにこの中は覗けないわよ。ネルフの中でも最も
 セキュリティの厳しい所の一つなのよ……。諦めるしかないわね」

 「う~~~ん……どうしてくれよう~~~」


 その頃、扉の向こうでは……。


 「どうした碇、見ないのか?」

 「…………」

 「やれやれ、俺まで邪魔者扱いか。まぁいい、その代わり後でちゃんと俺にも
 見せろよ」

 「ああ、分かっている」

 冬月はやれやれと言って部屋から出ていった。

 「ん? 君達、何をしているのかね?」

 「あ、副司令……。いえ、その、碇司令がどんな顔して写真を見るのかが気に
 なって……」

 「君たちもかね? 俺も見てみたかったんだが、碇のやつ俺まで邪魔者扱いにし
 おった。ま、いつも人の親と言ったところか。少し前に比べれば随分と人間らしく
 なったものだよ。今日は君らも諦めたまえ」

 「はぁ~……やっぱり無理かぁ~~~」

 副司令にも見せないのであれば、自分らでは無理かと思い、ミサトもリツコも諦める
 しかなかった。

 なお、扉の向こう側でゲンドウがどんな顔をしながら写真を見ていたのかは、
 恐くて書けないので、各自で想像して下さい。


 新世紀エヴァンゲリオン-if-

 第九部 学校へ行こう! 


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