新世紀エヴァンゲリオン-if-

 夜の海編 Cパート


 「ちょっとミサト、どうなってんのよ! 私も身体が動かないのよ!」

 「え? アスカも!?」

 「あなた達、ほんとなの? ほんとに身体が動かないの? ちょっとリツコ、どう
 いう事よ?」

 「ん~そうね~、人間は強い光や音、衝撃波などを急に受けると一時的に筋肉が硬直
 する事があるのよ。その症状に似てるわね」

 「確か、閃光弾が目の前で爆発しても、同じような効果がありますよね」

 ケンスケが、ミニタリーマニアらしい事を言う。

 「閃光弾? やっぱり花火じゃなくて兵器なんじゃないの」

 「そ、そんな事よりミサト、シンジ君とアスカが抱き合ってるのに、レイが何もしない
 なんておかしいと思わない?」

 「言われてみればそうね。ちょっとレイ、どうしたの? レイ?

 しかし、レイから返事はない。不審に思ったミサトとリツコは、レイの正面に回る。
 すると、レイは渦巻き状の目をして、しっかり気絶していた。

 「あら、気絶してるわ」

 「そういえば、綾波さんが振り向いた瞬間に爆発が起きたから、真正面から光を見た
 のかも……」

 「ミサトさん、綾波、大丈夫なんですか?」

 「ええ、気絶してるだけみたいだから、そんなに心配しなくても大丈夫よ」

 「とにかく、私たちを何とかしてよ!

 「そうね、レイが目を覚ますと何かもめそうだから、シンジ君とアスカを先に離す
 事にしましょう」

 「え~、もめた方が面白いのに……」

 「ミサトさ~~~ん!」

 「はいはい、分かったわよ」

 そう言って、ミサトも渋々シンジとアスカを引き離した。

 「どう? まだ動かない?」

 「少しずつ動くようになってます」

 「私も何とか動くようになったわ」

 「さて、それじゃあレイを起こすとしますか。レイ、しっかりしなさい、レイ!

 「綾波! 綾波!!

 「ん……んーん……あ、碇くん……。ミサトさん、私どうしたの? 目の前が
 真っ白になって……。私、また自爆したんですか?

 「違うのよレイ、リツコの花火の爆発よ」

 「そうだったんですか」

 レイもリツコの花火であっさりと納得したようである。まったくリツコは普段どんな
 実験を繰り返してるんだか……。

 「まったくリツコも人騒がせよね。怪しい実験に私たちを巻き込まないでもらいたい
 わね」

 「そんなに怒る事ないじゃないの。それに、アスカには感謝してもらいたい
 くらいだわ」

 「何で私がリツコに感謝しなくちゃいけないのよ!?」

 「あら、だってシンジ君とあんなに長く抱き合っていたじゃないの。私のおかげで
 しょ」

 「な!? な……な……

 アスカとシンジはたちまち真っ赤に染まる。

 「アスカ、碇くんに抱き付いたの?」

 「な、何よ! レイだってさっきシンジに抱き付いてたじゃないのよ」

 「あれはアスカが私を驚かすから……」

 「私もリツコに驚かされたのよ、仕方のない事よ」

 「じゃあ、私も仕方のない事だったの」

 「…………引き分けのようね」

 「そうね」

 何がどう引き分けなのかは分からないが、その後は何の問題も無く、花火大会は終了
 した。もちろん、ミサトがリツコのボディチェックをして、爆発物を隠し持ってない
 かを厳重に調べた事は言うまでもない。

 なお、最初にミサトがリツコの花火をごみ箱に捨てたが、そのごみ箱のゴミを焼いて
 いた焼却炉が謎の大爆発を起こすのだが、それは本編には何の関係もなかった。

 「ねーミサト、そろそろお腹すいてきたんだけど、ご飯まだなの?」

 「んーそうね、あと三十分くらいね」

 「えー!? まだそんなに掛かるの?」

 「我慢しなさい。あなた達がびっくりするような豪華な料理を用意してるから、
 少し時間が掛かるのよ」

 「じゃあ三十分、何しろって言うのよ?」

 「だーいじょうぶよ、ここのホテルは宿泊者のための娯楽設備が整ってるから、
 三十分なんてあっと言う間よ。そうだ! あれなんていいかな」

 「あれ?」

 「んふふふふふ。あなた達に、コスプレ大会してもらおうかしら」

 「コスプレ大会!?」×2

 「そ、ここには世界中の民族衣装や昔の服装、パーティードレスなんかを着て、記念
 写真が撮れるサービスがあるの。それやってみましょ」

 「ああ、温泉街の大きなホテルなんかで良くあるやつですね」

 「まぁ、そうね。あれの規模を大きくしたものだと思ってくれて間違いないわね」

 「ふ~ん。ま、結構面白そうね。いいわ、それ行きましょ」

 こうして、ミサトに案内され、色んな服装が載ったカタログを渡された。それは、
 カタログというより、一冊の本といっていいほど分厚く、服装の種類も数百種類に
 及んでいた。

 「すごいですね、こんなにあるんですか」

 「確かにすごいわね。これは選びがいがあるわね」

 おおおおおぉーーーっ!!」

 「ど、どうしたの、ケンスケ?」

 「見ろよシンジ! 世界中の軍服が揃ってる。こんなものまであるなんて、
 さすがネルフだなー」

 「……相変わらず危ないヤツね。目の輝きがいつもに増して合ってないわ」

 おおおおおーーー!!」

 「今度は何よ?」

 「プ、プラグスーツがある! ミサトさん、僕これにしたいです!」

 「ええ、いいわよ。相田君はプラグスーツね」

 ミサトはそう言って、備え付けの申込用紙にプラグスーツの番号を書き込み、ケン
 スケに渡した。この用紙を受付に持って行くと、係の人が着付けてくれるシステム
 になっている。

 「ちょっとミサト、プラグスーツって直接肌に付けるもんでしょ。衛生面大丈夫
 なの?」

 「もちろんよ。実際にエヴァに乗るわけじゃないから、簡易タイプなの。だから
 下着は付けててもいいのよ」

 「ふーん。ま、私には関係ないからいいけどね。こんな所まで来てプラグスーツを
 着ようなんて思わないから」

 「ケンスケはプラグスーツか。ワシはどれにしよかいな」

 「トウジは日本的な格好が似合うと思うよ」

 「そうだね。トウジにドイツの軍服や西洋の騎士の格好は似合わないよな。この
 水戸黄門の格好なんてどうだ?」

 「あのな、もうちょっとカッコええもん選んでくれんか?」

 「じゃあ、この宮本武蔵の格好なんてどうかな? 結構いいと思うけど」

 「ま、水戸黄門に比べたら遥かにマシやな。よっしゃ、ミサトさん、ワシはこれに
 します」

 「宮本武蔵ね。はい、これ」

 ケンスケの時と同じように、ミサトは数字を書いた用紙をトウジに渡した。

 「ねーねーヒカリ、鈴原がああいう格好するんだからさ、時代を合わせて
 ペアルックにしてみたら?」

 「え? で、でも……」

 「いーじゃない。こういう事でさりげなく自分の存在をアピールするのも一つの手
 よ。この着物なんかいいんじゃないの?」

 「そ、そうかな……。でもアスカ、この服は『十二単』と言って、ちょっと
 時代が古すぎるんだけど……」

 「ふーん……と言う事は、時代を合わせる事に異存はないわけねー」

 「う、うん」

 「じゃあ、このお姫様の格好なんてどうかな? 髪飾りが奇麗だし、時代も合ってる
 でしょ。これで決まりね。ミサトー! ヒカリはこれだからちゃんと付けといてよ。
 さーて、私は何にしようかなー」

 アスカはヒカリの服を強引に決めてしまったが、ヒカリ自身は、アスカにこうでも
 してもらわないと、トウジとペアルックなどできない性格なので、口には出さない
 が、アスカに感謝していた。もちろん、アスカもヒカリの気持ちを分かっての事
 である。

 「ねえ、レイはどれにしたの?」

 「こんなに多いと迷っちゃって……まだ決めてないの」

 「それじゃあレイ、私が選んであげましょうか」

 「ミサト! またレイに無茶な服を着せる気なんでしょ!?」

 「だーいじょうぶよ。このカタログの中にはそんなに無茶な服装は無いから。
 これなんかどうかな? 良く似合うと思うわよ」

 そう言って、ミサトが指差した服は……


 <つづく>

 次回、大コスプレショー開催か!?


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