新世紀エヴァンゲリオン-if-

 海 編 Eパート


 「お待たせーシンジ!」


 「来た~~~!!」×2


 トウジとケンスケはそう叫び、慌てて振り向いた。シンジも、アスカの声を聞き、
 ゆっくりと振り向いた。

 そこには、一時期やつれていたが、順調に回復し、以前よりさらに女らしくなった、
 ダイナマイトバディ(アスカ本人談)を誇らしげにシンジに見せる
 アスカ、シンジの視線を気にして恥ずかしそうにしているレイ (裸でシンジの前に
 出て、押し倒され胸を触られても平然としていた頃に比べると、格段の進歩(?)
 と言える) そして、トウジの視線を気にして恥ずかしそうにしているヒカリの
 三人が立っていた。

 [Hirokiさん提供、アスカ様の水着イラストはここをクリック!]

 「おおおおおーーー!!」

 トウジとケンスケは目をウルウルさせていた。もちろん、ケンスケはしっかり撮影
 している。

 シンジも海への恐怖を忘れてしまうほど見とれていた。以前、ネルフのプールで
 レイとアスカの水着姿は見ているのだが、やはり照明の光と太陽の光では違って
 見えるのか、今日はやけに眩しく見え、目を逸らせずにいた。

 『ふふふ。シンジったら見とれてるわ。ま、無理もないわね。何たってこの私が
 水着姿になってるんだから。……あーあ、これでシンジと二人っきりだったら
 もっと良かったのに……』

 「あ、あの碇くん、この水着どうかな? 変じゃない?」

 「そ、そんな事無いよ、良く似合ってるよ。ほんと、みんな良く似合ってるよ」

 「ほんとに?良かったー!」

 シンジの言葉を聞き、レイも安心したようで、とびっきりの笑顔を見せた。

 [あ~るさん提供、レイちゃんの水着イラストはここをクリック!]

 「ありがと、碇くん」

 「ま、当然よね」

 『みんな……か。まぁ、私一人誉めちゃ二人が傷つくから仕方ないか』

 あくまで強気なアスカだった。

 『それにしても、鈴原のヤツ鈍感ね。せっかくヒカリが水着着てんだから、誉めて
 やりゃいいのに』

 「あれ? ミサトさん達一緒じゃなかったの?」

 「え? ミサトさんまだ来てないの?」

 「私たちが最後だと思ったんだけど……」

 「分かった! きっと海に来たのはいいけど、人前に出れるようなスタイルじゃない
 んで、水着姿になれないでいるのよ。歳とると大変ね。ほんと、かわいそうねー」

 ポカ! ポカ!

 「いったーーーい!」

 「だ~れ~が~ 人前に出れないスタイルですって~~~!?」

 「まったく……陰で何言われてるか分かったもんじゃないわね」

 「見なさい、アスカ。このパーフェクトなプロポーションのどこが人前に
 出せないって言うのよ?」

 そう言って、ミサトはセクシーボーズをとる。

 「おおおおおおーーーっ!!!」

 トウジとケンスケは思わず感動の声をあげる。それに気を良くしたミサトは、さらに
 色々なポーズをとる。ケンスケは、こんなシャッターチャンスを見逃すわけはなく、
 ひたすら写真を撮っている。

 いくらアスカが十四歳にしては見事なスタイルといっても、さすがにミサトには
 負けてしまう。それがアスカには面白くなく、ついミサトに突っかかってしまう。

 「フンだ! ビールばっかり飲んでるミサトがそのスタイルを維持できるのも、持っ
 て後二~三年じゃないの? ひょっとしたら、海に来れるのは今年で最後かも知れ
 ないんだから、せいぜい最後にいい思い出作る事ね」

 「……随分とキツい言い方ね、アスカ」

 「あら? そうだった? 私はほんとの事言ったつもりだけど」

 「ふっ……そう言う事。つまりアスカは、自分がお子様スタイルなもんだから、
 私のスタイルの良さにやきもち焼いてるんでしょ」

 「だ、誰がお子様スタイルよ、誰が!? シンジ、私がお子様スタイル
 じゃない事をミサトに説明してやりなさいよ」

 「ア、アスカ! どうしてそう、誤解を招くような事を……グエ! ほ、ほら、
 こういう事になるんだから」

 シンジは、トウジとケンスケに首を絞められていた。

 「シンジ、今のはどういうこっちゃ?」

 「お前、惣流のハダカ見た事あるのか? どうなんだ、シンジ?」

 「く、くるし~~~」

 「あ、碇くん! 鈴原君、相田君やめて。碇くんが苦しがってる。それに、
 碇くんが見たのは私の……むぐむぐ……」

 アスカは慌ててレイの口を塞ぎ、レイの耳元でささやく。

 「だから、そういう事は黙ってなさいって言ったでしょ、分かった?」

 レイがうなずいたので、アスカはレイの口から手を離した。

 「あんた達、シンジを離しなさいよ。私が言いたいのは、水着の上からでも私が
 お子様スタイルじゃ無いって分かるでしょ、って事よ。あんたらだって、私の身体
 をジロジロ見てたじゃないの」

 「ワ、ワシはそないな事しとらん」

 「も、もちろん僕もだよ」

 「ふ~~~ん」

 アスカは思いっきり疑わしそうな目で、トウジとケンスケを見ている。

 「水着の上からでもアスカがお子様スタイルだって事は十分分かるわ。ま、私のよう
 に大人の色気が出るには、十年は早いわね」

 ミサトは、年寄り扱いされたのがよっぽど気に入らなかったのか、やけにしつこい。

 「うるさいわね。十年たったら私はミサトなんて比べものにならないくらいの美人
 になってるわよ。その頃ミサトはいくつかしらね~。私と勝負できるのは、今年が
 最後でしょ、きっと」

 アスカも負けてはいない。この二人は本当に性格が似ている。まさに、ケンカ友達
 と言ったところである。

 シンジ達は、この二人の言い争いを、やや呆れて見ていた。

 すると、そんなアスカとミサトのやりとりを見ていた、周りの海水浴客達の話し声が
 聞こえてきた。

 「なーなー、あの子、かわいいな」

 「俺、声掛けてみようか」

 などと、口々に言っている。

 「ふっ……聞いたかしら、ミサト。今のが私に対する正当な評価よ」

 「何言ってんのよ。あれは全て私に向けられているのよ。勘違いするんじゃないわ
 よ」

 「なによー!」

 「やるってーのー?」

 二人は既にファイティングスタイルをとっている。放っておくと、本当に
 ケンカをするかもしれない状況である。

 「ミサト、いい加減にしなさい。見物客ができ始めているわよ」

 「アスカもやめなよ。せっかく海まで来てケンカする事ないだろ」

 確かに、周りに見物客ができ始めていた。さすがに二人とも恥ずかしくなってくる。

 「運がいいわね、アスカ。今日は見逃してあげるわ」

 「それはこっちのセリフよ。今日の所はシンジに免じて許してあげるわ」

 二人とも、なんとかケンカだけはやめたようだった。

 「あの……赤木博士、どうして白衣なんか着てるんですか?」

 レイが指摘したように、リツコは水着の上から白衣をまとっている。
 ケンスケは、『新鮮だ』と思い、ひたすら撮影していた。

 「ほら見なさいリツコ。やっぱり指摘されたじゃない。だから、そんなもん脱げって
 言ったのよ。だいたい、何で海に来てまで白衣なんて着なきゃいけないのよ?」

 「甘いわね、ミサト。これはただの白衣じゃないのよ。私が開発した、特殊機能
 付き白衣なのよ」

 「特殊機能?」

 「そう。この白衣には、対ショック対閃光防御機能……じゃなかった、対紫外線
 防止機能が付いてるのよ」

 「紫外線防止機能?」

 「そう。夏の海はお肌の大敵、紫外線であふれているのよ。それを防ぐための白衣
 よ。紫外線の99.89%を遮断、しかも通気性にも優れているから、長時間着用しても
 むれない、まさに夏の海のために作られた白衣なのよ。今、特許申請中だけど、数年
 後の海は、この白衣を着た人達で埋めつくされるのよ。ああ、なんて素敵なの
 かしら

 リツコは数年後を想像して、ウットリとしている。

 「……あんた、白衣フェチだったの。どうりでいつも身に付けてると思ったわ。
 ま、数年後はどうだか知らないけど、今、そんな格好してるのはリツコだけよ。
 はっきり言って危ないやつにしか見えないわよ。見物客ができてるのはリツコのせい
 よ、きっと」

 「ま、確かに。しようがないわね。今回は日焼け止めクリームでも塗るとするか」

 そう言って白衣を脱ぐ。白衣の下は、ミサトと同じく、年令からは想像できない、
 見事なスタイルだった。

 (ま、アニメだからな)

 ケンスケは、『いい物が撮れた』と満足そうにしている。

 シンジ達の目の前には、同い年の美女と、年上の美女が勢揃いしていた。

 「生きてて良かった。ワシは今、心底そう思う」

 「まったくだね。男なら涙を流すべき状況だね」

 実際、二人は涙を流している。シンジは、涙こそ流していないが、それでも思わず
 見とれていたりする。三人とも健全な男の子だった。

 「いやーしかし、ほんまシンジを誘うて良かったわ。こんな美人がもれなく五人も
 ついてくるんやもんな」

 「ほんと、持つべきものは友達だね。シンジも来て良かったと思うだろ?」

 「うん、そうだね」

 「ふふふふふ。正直ね、あなた達」

 「鈴原君、後で加速装置付けてあげるわ」

 「別に、あんたのために来たわけじゃないわよ」

 『良かった。碇くんも来て良かったと思ってるんだ』

 『五人? アスカ、綾波さん、ミサトさん、リツコさん……私? 鈴原、私も美人
 の数に入ってるんだ……。良かった』

 「よっしゃ、みんな揃うたようやし、早速泳ごか」

 「待ちなさい鈴原!」

 「な、何やイインチョ?」

 「準備体操しなきゃダメでしょ!」

 「何や、そんなもんせんでもええがな」

 「だめです。特に鈴原は体が完全じゃないんだから、念入りにやってもらいます」

 『ネルフの技術に限って、そんな事は無い』とリツコは言いかけたが、準備体操
 をするに越した事はないので、あえて何も言わなかった。

 「まぁまぁトウジ、委員長はトウジの事心配してくれてるんだから、素直に準備
 体操しようよ、ね」

 「ま、しゃあないな」

 そして、全員で、2015年にもしぶとく生き残っているラジオ体操を行った。
 足元ではペンペンも何やらやっている。どうやら、ペンペンも準備運動をしている
 ようだ。

 「これでええやろ、イインチョ」

 「ええ、いいわよ。でも、無理しちゃだめよ」

 「ああ分かっとる。それじゃあ今度こそ泳ぐぞ!

 「あ、シンジちょっと待って」

 「え?」

 「何や、まだ何ぞあるんか?」

 「私が用があるのはシンジだけだから、あんた達は水平線の彼方でも
 海の底でも好きな所に行けばいいじゃない」

 「な、何や!? えらい露骨な言い方やな?」

 「で、何、アスカ?」

 「あ、あの、だからね、えーと……」

 「ん?」

 『アスカ、行くわよ!』

 アスカは自分に気合を入れ、勇気を出してシンジに言った。

 「日焼け止めクリーム塗ってくれない?」

 「えっ!!」

 「なぁにぃ~!?」

 「ほぉ~」

 「?」

 「何そんなに驚いてんのよ。たかがクリーム塗るだけじゃないの」

 「だ、だって……」

 「別に前塗ってくれなんて言ってないわよ。うまく塗れない背中、それも上半身
 限定。これなら別に問題無いでしょ」

 「う、うん。まぁ、それなら……」

 「じゃあ、お願いね」

 『シンジ攻略計画、その1。まず肌に触れ合い親密度を増す。ちょっと
 恥ずかしいけど、シンジにはこれくらいしなくちゃね。でも良かった。断られ
 なくて』

 「アスカ、それ何?」

 「え? ああ、そうか、これはレイに教えてなかったわね。肌が焼け過ぎないよう
 にするためのクリームよ。あんた、色白いんだから、塗っとかないと後で真っ赤に
 なって大変よ。貸したげるから塗っときなさい」

 「そうなの。ありがとう、アスカ……。それで、あの……」

 「ん、何? レイもシンジに塗って欲しいの?」

 「……うん」

 「ま、しょうがないわね。その代わり、これは私のなんだから、私の後にしなさい
 よ。いいわね」

 「うん、分かってる」

 この時点で、既にシンジの意志は存在していなかった。

 『……僕の立場って一体……』

 「あら、アスカ、余裕ね」

 「ほんと。『これは私のクリームだから貸さない』とでも言うのかと思ったのに」

 「ふっ。私はそんな心の狭い女じゃありませんからね」

 『ここでレイがこういう行動に出るのは予想できたし、こんな事でレイを出し抜こう
 なんて思ってないわよ。まずはレイの警戒心を解くための先行投資よ。シンジにも
 いい印象を与えるだろうし。ふふふ、完璧ね』

 「じゃあシンちゃん、ついでに私も塗ってもらおうかしら」

 「それじゃあ私もお願いするわね、シンジ君」

 「え? ミサトさんとリツコさんもですか?」

 『ぬっ! これは予想外の展開。ミサトめ、やっぱり邪魔する気ね』

 「で、でも……」

 「あら、嫌なわけ?」

 「レイやアスカじゃなきゃダメって事かしら、シンジ君?」

 「い、いえ、別にそういうわけでは……」

 「じゃあ、お願いね」

 「もちろん、レイやアスカの後でいいから」

 「当ったり前じゃないの、そんな事。これは私が先に言い出したんだから。じゃあ
 シンジ、お願いするわね」

 「う、うん」

 シンジは、アスカから日焼け止めクリームを受け取る。

 「あ、あのさ、アスカ、本当にいいの?」

 「いいも何も、私が頼んでんじゃないの」

 「そ、そりゃそうだけど……」

 「シンちゃ~ん、男ならビシッと決めなさい、ビシッと!

 「じゃ、じゃあ塗るよ、アスカ」

 「え、ええ……」


 <つづく>


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