「夜がこんなに長いだなんて……」


 シンジは、見慣れた天井を見ながらつぶやいた。


 新世紀エヴァンゲリオン-if-

 第二部 Cパート (BLACK その四)


 『明日は、綾波の引越しもしないといけないし、ミサトさんの部屋だって、なんとか
 しないといけない……。早く寝ないと明日が辛いのは分かってるのに、綾波の事を
 考えると全然眠れないな……。かといって、ここを離れたら綾波が傷つくかも知れ
 ないし……。でも、このままでは自分がどうなってしまうか分からない……』

 『僕は一体、どうすればいいんだーーーっ!』

 シンジは心の中で絶叫した。もちろん声は出していない。

 ふとレイの方に目をやると、レイは幸せそうに眠っていた

 そして、シンジの視線は無意識のうちに顔を外れ、首を通っての方
 へと移動していった。

 ゴクッ!

 こういった展開にありがちな効果音を出すシンジ。本来、二人の上に覆い被さってい
 るはずの毛布が無く、寝間着姿のレイがシンジの視線上にある。
 成長途中の十四歳のその身体は、寝間着の上からでもはっきり
 確認する事が出来た。

 『あ……あや……あや……あやなみの……』

 既に、シンジには理性という言葉は存在しなかった。

 シンジは、そっと手を延ばし、レイの身体に触れてみた。
 レイが起きやしないかと少し心配したが、レイはすやすやと眠っていた。

 止まるところを知らないシンジは、触るだけでは物足りなくなり
 少し手を動かす事にした。ちろちろと手を動かすシンジ。
 そして、その手の動きは、だんだんと大きくなっていった……。



 「う……う~ん……」


 レイが目を覚ました
 そして、レイはシンジを見た



 『すやすやすやすや……あやなみぃ~』


 シンジは、自分だけの世界を築きながら、ニヤけた顔で眠っていた

 (……夢オチかいっ!)

 『碇くん……何見てるんだろ? 楽しそう……私の事だったらいいな……』

 確かにレイの事ではあるが、シンジが今何しているかは考えない方がいいだろう。

 そしてレイは、ずれていた毛布を肩口までそっと上げて、再び眠りの世界に戻って
 いった……。


 そして、翌朝6時30分。

 レイは目覚めた。そして、右にいるはずのシンジの方を向いた。

 「碇くん……どうして?」

 シンジのいた場所には、が残っているだけだった。シンジの枕を抱くと、思わず涙
 がこぼれた。

 ぐー、すー

 シンジは、ベッドから落ちて床の上で寝ていた。レイは、シンジを見つけて
 ほっとした。そして、毛布をシンジにかけてあげようと思い、毛布を手にして、
 ベッドをおりた。

 レイはシンジを見て、シンジの身体の一部分の変化に気が付いた。その時、

 はっくしょん! ぶるぶる」

 タイミング良くシンジがくしゃみをして、そのショックで目を覚ました。ちなみに、
 シンジは夢の中での出来事は覚えていないが、身体の一部分はしっかり覚えていた。

 「あ……碇くん……。身体、大丈夫?」

 「?」

 シンジは何の事だろうと、レイの目線をたどってみる。

 『こ、これはっ!』

 シンジは、原因に気づき思わず顔を赤らめた。

 「わぁーーーっ。こ、これは、になるとこうなるんだ。
 大丈夫だよ、綾波!」


 シンジは慌ててそう言って、反射的にトイレに駆け込んだ。

 しばらくしてトイレから出ると、ミサトさんが眠そうに目を擦っていた。

 「も~、朝から何騒いでんのよ?」

 あくびをしながらミサトが言った。

 「すみません、ミサトさん」

 申し訳なさそうに謝るシンジ。

 「あ、そうそうシンちゃん、私の部屋の目覚し時計、電池が無くなって止まってる
 からシンちゃんのを貸してね。私10時に出勤しないといけないのよ」

 「あぁ、いいですよ」

 シンジは、答えてからハッとした。気づいた時には、ミサトはシンジの部屋
 向かっていた。

 「あ、僕が持って行きます!」

 シンジはミサトを止めようとした。しかし、

 「いいわよ、もう着いたから」

 そういってミサトは、シンジの部屋のふすまを開けた。

 「あ、おはようございます、葛城さん」

 レイが毛布をたたみながら、振り向いた。

 ミサトは硬直していた。その視線は、ベッドの上の二つの枕に注がれていた。

 硬直していたミサトは、数秒後に我にかえった。

 シ、シンちゃん! これは、どういう事!? もしかして、
 レイを住まわせたのは、その為なの!?」

 普段なかなか起きて来ないのに、今日に限って目が覚めるなんて、シンジ君はホント
 に不幸である。

 「ち、違うんです! ミサトさん!」

 「な、何が違うのよ! じゃ何故ここにレイがいて、枕が二つ並んでる
 のよ! 私は、シンちゃんをそんな人間に育てたつもりは無い
 よっ!」

 ミサトは、思わず目を覆った。(育てたと思ってるのかミサトさんは)

 「どうかしました、葛城さん?」

 レイは、慌てるミサトを尻目に平然としていた。

 「綾波と寝たのは、否定しませんけど、僕は何もしてません!
 信じて下さい! ミサトさん!」

 「……分かったわ。じゃ、この事はアスカにヒミツにしといてあげる。その代わ
 り、口止め料としてエビチュを月六箱から七箱にしてね!

 ミサトはシンジの耳元で囁く。(ホントに保護者か? あんた)

 「そ、そんなぁ。あぁ家計が苦しくなる(そんな事までやらせてたのか?)


 そして、しばらくして三人は、ミサトの部屋を片づけていた。

 「これ要るんですかぁ? ミサトさん!」

 シンジが雑誌の束をミサトに見せる。

 「捨てちゃっていいわよ!」

 ミサトは、十時まで寝るつもりだったが、シンジに十時まで手伝うように言われ
 て、しぶしぶ従っていた。

 「ミサトさんがいなきゃ、何を捨てていいのか分からないじゃないですか」

 シンジの弁であるが、至極もっともである。

 「葛城さん、これいいでしょうか?」

 レイが化粧品の空き瓶をミサトに見せる。

 「それもいいわよ! ……それと、レイ。家ではミサトでいいわよ! 私もあなた
 をレイと呼ぶから」

 そう言って、ミサトは微笑んだ。

 「はい!」

 レイも喜んでいるようだ。


 そして、またしばらくして……。

 「ふわわぁ~そんじゃ行って来るわね! 後よろしく~」

 ミサトは着替えて出勤していった。

 ミサトの部屋は、シンジとレイの働きで見違える程綺麗になっていた。

 「綾波! おなかも空いたし、ちょっと早いけど、お昼にしようか?」

 朝ご飯も食べて無いので、朝昼兼用であった。

 シンジは冷蔵庫を開けた。

 「あんまり材料無いなぁ、どうしよう? 綾波~、何か食べたい物ある?」

 「碇くんの作ってくれた物なら何でも!」

 「あるのは、サラミとピーマンとパンとチーズぐらいだなぁ。よし、ピザトーストに
 しよう」

 そう言って、シンジは三人分のピザトーストを作り始めた。パンに切れ目を入れ、
 とろけるチーズを乗せ、輪切りのピーマンとサラミの切り身を乗せる。そして、
 塩コショウをふり、一人前は小皿に乗せ、ラップして冷蔵庫に入れた。

 「すぐ出来るから、ちょっと待っててね。綾波!」

 シンジはトースターに二枚のピザトーストを並べて入れ、スイッチを入れた。

 「オレンジジュースとミルク。どっちにする? 綾波」

 シンジは冷蔵庫を開けて、レイに聞いた。

 「碇くんと同じ物でいいわ! それと、さっきミサトさんが言ってたように、名前で
 呼んで欲しいな!

 レイは微笑を浮かべながらそう言った。


 ……一方、その頃。

 ガー、ガシャン。

 玄関のドアが閉まる音が響いた。

 「あ~眠い。ちょっとお腹すいたわね。シンジに何か作って貰おうかしら」

 検査から帰って来たアスカは、そう言ってリビングに入って来た。

 そして、ふと食卓の方を見た。

 な、何してるのアンタたちっ!


 <つまずく……もとい……つづく>


 おう! ワイや、尾崎や! スマン!! ワイの書いた原稿、湯作に見せ
 たら、「これはあまりにマズイから直せ!」ちゅーて、えらい剣幕で怒られ
 たがな。ワイは嫌や! ゆうてゴネたけど、そしたら「もう協力せん!」て
 言いだして聞かへんねん。そんで、しょーことなしに直したんや……。
 ほんでも、できるだけサービスしたつもりや。これで堪忍な。
 ホンマにスマン!!


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