新世紀エヴァンゲリオン-if-

 第一部 ニセEパート集


 これは、Dパートを読み終えて、ごろごろ転がった尾崎氏が、ゆさくに「早く続きを見せろぉ!」
 と何度も言ってくるので、それならば……と思い、尾崎氏を罠にハメるために特別に作成した
 ものです。

 ニセモノではなくホンモノを早く読みたい!


 ニセEパート その壱

 「……綾波」

 二人は互いの手を取り、見つめあっていた。

 しかし、その静寂を破るかのように、ドアが開いた。

 「ファースト、起きてる?」

 「ア……アスカ!?」

 「あーーッ! シンジ!! 何やってのよッ!」

 「ミミミ、ミサトさん、これって一体どういう事なんですかッ!? アスカは絶対
 安静のハズじゃ?」

 「そうよ、アスカは絶対安静。でも、皆さんが、どーしても続きが見たいって言う
 から、仕方なく、ね」

 「仕方なく、ね。じゃありませんよ。アスカはまだ絶対安静にしなきゃいけないん
 だから、せめて後一週間は我慢して下さいよ」

 「……分かったわ。シンジ君がそこまで言うのなら、私たちは退散しましょ、
 アスカ」

 「……仕方ないわね。……ファースト! シンジは『私のもの』なんだからね!
 シンジにちょっかい出すと、承知しないわよッ!」

 「そうね。じゃ、とりあえず-if-の連載が軌道に乗るまで、私は碇くんに何も
 しない。それでいい、アスカ?」

 「いいわよ。1週間後には、私も復活してやるんだからッッッ!」

 < 完 >
 ニセEパートの第1作目です。これは連載時、Dパート公開とほぼ同時期に
 こっそり「特別公開」と称して公開しました。つまり、尾崎氏だけではなく、
 全読者をも巻き込んだ作品です。
 そして、これ以降「先行公開編」(と称するニセモノも含む)がやたら
 増殖するようになり、-if-の名物になりました(ヤな名物だな)


 その弐


 「……綾波」

 二人は互いの手を取り、見つめあっていた。

 しかし、その静寂を破るかのように、ドアが開いた。

 「ファースト、起きてる?」

 シンジは慌ててドアを見ると、アスカとミサトが入ってきていた。

 「ア、アスカ!? ミサトさん、アスカ動いて大丈夫なんですか?」

 「いいわけないわよ。だけど、絶対ここに来るって聞かないから、仕方なく」

 「ちょっとファースト! 何シンジと見つめ合ってるのよ! 手まで握っちゃって」

 アスカは真っ赤になって怒っている。シンジは慌てて手を離そうとしたが、レイが
 離してくれなかった。

 「いい、ファースト。シンジは『私が好き』って言ったのよ」

 「それは見てたわ」

 「あ、あんたまで見てたの!? ……それじゃ知ってるでしょ。私とシンジは、
 もう二回もキスした恋人同士なのよ」

 「へ~二回目だったの。シンちゃんやるわね~。一体、いつの間に……」

 ミサトは面白そうにシンジを見た。シンジは、レイとアスカを見比べ、ただオロ
 オロするばかりだった。

 「恋人同士?」

 「そっ。だから、今更あんたがシンジの事好きって言っても、もう遅いの。分かった
 かしら?」

 アスカは勝ち誇ったかのように、そう言った。

 一方、レイは、何かを考えていた。

 「……碇くん」

 えっ、とシンジが振り向くと、レイの顔が急に近づいてきた。

 「あ、綾波……」

 「碇くん……」

 二人は、後少しで唇が重なる距離まで接近していた。その時、

 「ちょっとあんたたち、何やってるのよっ!?」

 アスカは、顔を真っ赤にして二人に詰め寄った。シンジは、思わずレイから離れた。

 「アスカ、邪魔しないで……」

 レイはそう言いながら、再びシンジに近づいた。

 「止めなさいって言ってるでしょっ!!」

 「……なぜ邪魔するの……?」

 「いいファースト。シンジは『私が好き』って言ったのよ。……あんたなんかに
 シンジは渡せないわよ」

 「……碇くんは『私が欲しい』って言ったわ」

 「な、何ですってーーーっ!!! シンジーーーっ!」

 「おおー、シンちゃん大胆な事言うようになったわねー」

 「ち、違うよ! 僕はただ綾波に『ずっとそばにいて欲しい』って……。綾波が
 欲しいとか、そんな事は思った事なんかないよ!」

 「碇くん、どうしてそう言う事言うの?」

 「シンジ君……不潔」

 「マ、マヤさん!? いつの間にっ!? ご、誤解だよ」

 「ゴカイもロッカイもないわっ……不潔よっ二人ともっ」

 「い、委員長までっ! いったい、どーなってるんだーーーっ!?」

 「……そう、これも一つの終局のカタチ。EVA-if-の物語の一つよ」

 「……そ、そうなのか。じゃ、アスカと綾波、両方とも好きにしていい世界なの
 かっ!」

 「そうよ、尾崎貞夫君」

 「……やーっと分かったの、バカサダッオッ!」

 「はっ……」 ガバッ

 「ゆ、夢か…… またハメられるとは…… おそるべし湯作……」

 < 完 >
 ニセEパート中、最もインパクトのある作品。尾崎氏もまさか2回もハメられるとは
 思っていなかったようで、自分の名前で出てくるまで気付かなかったそうです。


 その参


 「……綾波」

 二人は互いの手を取り、見つめあっていた。

 しかし、その静寂を破るかのように、ドアが開いた。

 「ファースト、起きてる?」

 シンジは慌ててドアを見ると、アスカとミサトが入ってきていた。

 「ちょっとファースト! 何シンジと見つめ合ってるのよ! 手まで握っちゃって」

 アスカは真っ赤になって怒っている。シンジは慌てて手を離そうとしたが、レイが
 離してくれなかった。

 「いい、ファースト。シンジは『私が好き』って言ったのよ」

 「それは見てたわ」

 「あ、あんたまで見てたの!? ……それじゃ知ってるでしょ。私とシンジは、
 もう2回もキスした恋人同士なのよ」

 「恋人同士?」

 「そっ。だから、今更あんたがシンジの事好きって言っても、もう遅いの。分かった
 かしら?」

 アスカは勝ち誇ったかのように、そう言った。

 一方、レイは、何かを考えていた。

 「……碇くん」

 えっ、とシンジが振り向くと、レイの顔が急に近づいてきた。

 「あ、綾波……」

 「碇くん……」

 二人は、後少しで唇が重なる距離まで接近していた。そして、

 「……尾崎君、あなたのメールアドレス、間違ってるわよ」

 「ななな、なんだって!?」

 「私も、自分のアドレス見て気付いたの……。早く直した方がいいわ。
 それと、違ってたって事が分かるように、ちゃんとホームページに書いてね。
 一応、私もフォローしておいたから……。じゃ」

 「ちょ、ちょっと待ってよ! Eパートの本編は、いつになったら送ってくれるん
 だよっ!?」

 「……アドレスを間違って、しかも延々とそれに気付かなかった事に対する罰と
 して、直前まで預かっておくわ」

 「そ、そんな~~~ガクッ」

 < 完 >
 ニセEパートの異色作。偶然、尾崎氏のメールアドレスが違っている事を発見
 したので、教えてあげようと思った時にピンと来て、こういう形になりました。
 ちなみに、一カ月以上も間違ったまま表示されていました。


 その四


 「……綾波」

 二人は互いの手を取り、見つめあっていた。

 しかし、その静寂を破るかのように、ドアが開いた。

 「ファースト、起きてる?」

 シンジは慌ててドアを見た。

 見ると、アスカとミサトが部屋に入ってきていた。

 (中略)

 一方、レイは、何かを考えていた。

 「……碇くん」

 えっ、とシンジが振り向くと、レイの顔が急に近づいてきた。そして、二人の唇が
 重なった。

 「んっ!?」

 『綾波が……僕にキスしてる……』

 それだけでシンジは固まってしまい、頭の中が真っ白になってしまった。

 「ちょっとファースト! 何やってるのよっ!! 離れなさいよっ!! 一体、
 どういうつもり?」

 アスカは、レイとシンジを離して、詰め寄った。

 「キスすれば、恋人同士になれるんでしょ?」

 「な……」

 「……キスなんてものはね、好きな人同士がするものよ」

 「私は碇くんの事が好きだわ」

 「だからって、無理にするもんじゃないのよ」

 「アスカだって、碇くんにキスして欲しいって頼んだでしょ?」

 「うっ……」 (引き)

 『この女、前より更にやりにくくなったわね。……こうなったら、どちらが好きか、
 シンジに決めてもらうしかないわね』

 そう思って、シンジを見たが、シンジはまだボーーっとしていた。

 『くっ、ダメね。優柔不断のシンジに決められるハズないし……。最悪の場合、
 ファーストの事も好きと言いかねない。……そうだわ!』

 「ミサト!」

 「何よ? 大きな声で言わなくても聞こえるわよ」

 「私、今日、シンジと結婚する!」

 「ななな、何言ってるのよアスカ!? 今、自分が何言ったか分かってるの!?」

 「分かってるわよ。いいわね、シンジ?」

 「え? えーっと、その、いきなりそんな事言われても…… まだ十四歳だし」

 「愛があれば年齢なんて関係無いわっ!」

 「アスカ…… それ本気で言ってるの……?」

 「当ったり前でしょ。これ以上、ファーストにちょっかい出されたら困るもの」

 「……じゃ、私も碇くんと結婚する」

 「何ですってーーーっ! そんなの無理に決まってるでしょ?」

 「どうして?」

 「どうしてって…… そんなの常識じゃないの!」

 「……愛があれば常識なんて関係無いわ」

 「うっ……」 (引き)

 『この女、一段とやりにくくなったわね。……こうなったら、どちらと結婚するが、
 シンジに決めてもらうしか無いわね』

 そう思って、シンジを見たが、シンジはまだボーーっとしていた。

 『くっ、ダメね。優柔不断のシンジに決められるハズないし……。最悪の場合、
 ファーストと結婚するって言いかねない。……そうだわ!』

 「ミサト!」

 「はいはい、今度は何?」

 「私、今日、シンジの子供を作る!」

 「ななな、何言ってるのよアスカ!? 今、自分が何言ったか分かってるの!?」

 「分かってるわよ。いいわね、シンジ?」

 「え? えーっと、その、いきなりそんな事言われても……、まだ十四歳だし」

 「愛があれば年齢なんて関係無いわっ!」

 「え、えーと、その、あの……」

 「アスカ、シンジ君が嫌がってるわ。冗談もほどほどにしなさいよ」

 「いいのよ。今までに三回も前例があるんだから、彼もとっくの昔に気付いている
 わよ」

 「いいえ、今回はちょっと文章も長めだし、これも本編の一部と信じているはずよ。
 だから、早めに言った方がいいわ」

 「……分かったわ。ごめんなさい。もうしません」

 < 完 >

 ニセEパート完結編。これを尾崎氏に送ったのは本編公開日の前日でした。
 すっかり本物だと思い込んでいた彼は、最後のどんでん返しでひっくり返った
 そうです。かわいそうに……(笑)


 ホンモノのEパートを読みたい!

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