新世紀エヴァンゲリオン-if-

 外伝 弐拾七 ユイさん温泉旅行に行くの巻

 - Gパート -


 「シ~~~ン~~~ジィ~~~!! あんた一体何やってんの
 よ!!!」

 「い、いや……その……こ、これには……その……ふ、深い訳があって……あの……
 と、父さんとか……か、母さんが……そ、その、兄弟のスキンシップのためだから
 そうしろって言うから……あの……その……も、もちろん見ちゃいけない所は見て
 ないし……触っちゃいけない所は触ってないし……」

 『ちょっと胸は触っちゃったし、さっき見えちゃったけど……』

 「嫌ならきっぱりと断りゃいいじゃないのよ!!」

 「え、い、嫌って訳じゃ……・

 慌ててシンジは口を塞ぐ。

 「あらあら、シンちゃんもやっぱり男の子ね~~~」

 「お兄ちゃん……良かった。でも、私の身体で見ちゃいけない所も触っちゃいけない
 所も無いよ。お兄ちゃんならいいから

 「あう~……」

 「さっすがレイ。どうするアスカ? あんな事言ってるわよ」

 「シンジ!! 歯ぁ食いしばりなさい!! そんな精神、私が修正
 してやる!!

 アスカは拳を握り締め、シンジに殴り掛かろうと勢い良く風呂から飛び出す。
 しかし、その動きに耐えられず、タオルが落ちる。

 「あ~ら、大胆」

 ぐはっ!!

 「え? ……!!! き、きゃあぁぁぁ!!!

 「………………」

 慌てて風呂に飛び込むアスカであった。

 「うう~~~。シンジィ~~~あんた見たわね!?」

 「い、いや、その……」

 「まぁ、鼻血出してしゃがみ込んでるんだからバッチリ見たんでしょうね。それに
 しても、シンちゃんって正直な身体してるわね。ま、無理もないけどね。 わ~かい
 んだし」

 「ううう~~~」

 「良かったわね、アスカ」

 「何がいいのよ!!」

 「だーって、おニューの水着の代わりに中身を見せたんだし、インパクトは水着の
 数千倍よ。これはポイント高いわよ」

 「バ、バカな事言ってんじゃないわよ! シンジ! さっさと忘れな
 さい!! いいわね!!」

 「う、うん、分かった……」

 「…………お兄ちゃん」

 事の成り行きを黙って見続けていたレイが、シンジとアスカの間に割って入る。

 「え? 何、レイ?」

 『うう、怒られるのかな……泣くのだけは勘弁して欲しい……』

 シンジはビクビクしながらレイの次の言葉を待っていると、レイは何の迷いもなく
 バスタオルを取ってしまう。

 しゃがみ込んでいるシンジの前でそんな事をすればどうなるか……

 「………………ぐはっ!!

 再び大量の鼻血を吹き出し、うずくまってしまうシンジであった。

 「おおお~~~っ!! そう来たか!」

 「な、何やってんのよあんたは!?」

 アスカは慌ててタオルを巻き直し、レイの元に詰め寄る。

 「お兄ちゃんに他の人の裸は見てもらいたくないの」

 「はぁ? 何言ってんのよ! それがどうしてそういう行動になる
 のよ!? さっさとタオル巻きなさいよ!!」

 「どうして? 他の男の人いないわ」

 「シンジがいるでしょうが!!」

 「お兄ちゃんならいいの」

 「ハン! つまりシンジの事を男扱いしてないって事ね」

 「違うわ。さっきも言ったでしょ。私の身体で見てはいけない所も、触ってはいけ
 ない所も無いの。他の人は駄目だけど、お兄ちゃんだけはいいの」

 「ええーい!! 問題発言を繰り返すんじゃない!! 早くタオルを……
 いいわ、この私が巻いてやる!

 そう言ってレイの身体にタオルを巻き付ける。

 「私の心配より、あなたこそお兄ちゃんの前でタオル落とさないでね」

 「当ったり前じゃないの! それより何よその言い方。もし万が一さっきの
 ようになったら、また脱ぐとでも言いたいわけ?」

 「ええ、そうよ」

 「何でそうなるのよ!?」

 「お兄ちゃんに他の人の裸は見て欲しくないの。だけどもし万が一、さっきのように
 何かの拍子に偶然、不本意だけど嫌々、仕方なく見てしまう事もあるわ」

 「何か腹立つ言い方ね。それがどうしてあんたが脱ぐ事に繋がるのよ?」

 「見たいのなら私が幾らでも見せてあげる。そうすれば他の人の裸を
 忘れてくれるかも知れないから」

 「はぁ?」

 「まぁ確かに一理あるわね。アスカの裸を見た直後に目の前でレイに脱がれたんだ
 もの、相当インパクトがあったのは事実ね。距離も近いし、アスカの裸もかすんじゃ
 ったかもね」

 「だからあなたのためでもあるの。覚えて欲しくないんでしょ。感謝してね」

 「こ、この女……」

 『ん~~~睨み合う美少女二人、その足元でうずくまる少年、絵になるわね~~~。
 あ~お酒が美味しいわね。でも、このままじゃいつまで経ってもこのままね。しょう
 がない、助けてやるか』

 「シンちゃん、そのままじゃ身動き取れないでしょ。とりあえずお風呂入ったら?」

 「は、はい。そうします」

 ミサトの言葉に感謝しながら、シンジは這うようにして(実際這っている)風呂に
 入る。

 「あ、お兄ちゃん」

 「レイ、指輪指輪」

 「あ。で、でもお兄ちゃんが……」

 「だーいじょうぶよ。シンちゃんは私が見ててあげるから。大事な指輪はしまって
 来なさい」

 「で、でも……」

 『ふ~ん、指輪は大事だけどシンちゃんはもっと大事か……。何よりアスカがいる
 所にシンちゃんを残しておきたくない……か。すっかり可愛い女の子になっちゃった
 わね。アスカ、ピンチね』

 「ほんとに大丈夫だって。アスカと二人で行ってきなさい」

 「なーんで私まで行かなきゃなんないのよ!!」

 「あらアスカ、混浴は嫌なんでしょ。出るんじゃなかったの?」

 「この変態兄妹、見張ってないと何するか分かんないでしょ!
 私だけ出るわけにはいかないわ。それが良心ってもんよ!」

 「はいはい、そういう事にしといてあげるわ。でも、ま、アスカがここにいちゃ
 レイも動けないだろうし、私もちょっとシンちゃんと二人で話したい事があるから
 レイと二人で脱衣所まで行ってきて」

 「行くわよ」

 「ちょ、ちょっと手を引っ張らないでよ。走るんじゃない! 危ないでしょ」

 レイに引きずられるようにアスカも脱衣所に入っていく。


 「……レイも相変わらずのようだし、シンちゃんも大変ね」

 「これじゃ身体が持ちませんよ」

 「まーその出血じゃねー。でも、ま、若いんだし平気平気。でも、今晩は寝られない
 わね、きっと」

 「え?」

 「だって、そうでしょ。碇司令の事だから、多分部屋は和室タイプでしょ?」

 「ええ、そうですけど。それが何か?」

 「鈍いわね。和室って事は、当然布団よ。同じ布団で寝るって事はないだろうけど、
 レイの事だから、最大限くっつけるわよ。寝てる間に入ってくる事も十分考えられる
 じゃないの」

 『ま、最初から同じ布団って事も十分考えられるけど』

 「あ」

 「ようやく理解したようね。いつでもOK発言してるとはいえ、レイは意味分かって
 ないだろうから、シンちゃんの腕にでもしがみ付いて満足そうな顔でさっさと寝
 ちゃうだろうし。これはもう一晩中理性との戦いよね~~~」

 シンジは、恐らくミサトの言うようになるだろう事が容易に想像できた。

 「それに、さっきレイとアスカのオールヌードも見たわけだし。レイに下心がない
 分、かえって始末が悪いし。これはもう拷問ね。ビールでも飲んでさっさと寝る
 しかないんじゃない? あ、でもそんな状況でビールなんか飲んだら、かえって
 理性がなくなる可能性高いわね」

 『碇司令が何か妙な薬をビールの中に入れてそうだし』

 「ま、もし何かあればアスカに殺されるかも知れないから、キスくらいにしておき
 なさいね」

 「……楽しそうですね、ミサトさん」

 「まぁね、こーんな面白い事最近なかったし、たっぷりと楽しませてもらわなく
 っちゃね。期待してるわよ、シンちゃん

 「はぁ~~~~~~」

 シンジの受難は……


 <つづく>


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