新世紀エヴァンゲリオン-if-

 外伝 弐拾伍 最強ロボ エヴァンゲリオンX

 - Cパート -


 「ここは会議の場だ。意見がないのなら出て行け。あるのならちゃんと発言しろ」

 「あ、う、うん……。それじゃあ……一つ、いいかな?」

 「話してみろ」

 「あの……エヴァの武器ってプログナイフが主なものでしょ。使徒のATフィールド
 を破るために接近しなきゃならないのは分かるんだけど、もう少しプログナイフを
 長くできないかと思って……」

 「シンジ君、プログナイフをのようにして欲しいって事?」

 「はい。そうすればもう少し安全に戦えるんじゃないかと思うんですけど……。
 だめですか?」

 「ふむ、刀か……。なかなか見栄えがいいな」

 「確かにな。だが碇、西洋の剣か? それとも日本刀か?」

 「無論日本刀だ。当然鞘も付ける。その方が燃えるからな」

 「ああ、そうなると背中に付けるか腰に付けるかの問題が出てくるな」

 「やはり腰だろう。そして大刀小刀の二本を挿す。これで完璧だ」

 「そうだな。赤木君、技術的にはどうかね?」

 「はい。刀身全ての振動は強度上無理がありますが、刀の部分だけ振動させれば
 いいので理論上プログレッシブナイフと同じ効果が得られますし、十分作成可能
 です」


 ちなみに、これが『マゴロク・ターミネーターソード』の誕生秘話である。
 ……なわけ無いか。


 「シンジ、良く言ったな。お前にしてはなかなかのいい意見だ」

 「あ……は、はい」

 『父さんに褒められた。 褒められた。 褒められた。 〃 〃 〃 〃 〃』

 シンジはゲンドウに褒められ、すっかり舞い上がってしまった。

 「はーい! 私も意見がありまーす!」

 「じゃあアスカどうぞ」

 「エヴァを空飛べるように改造してよ」

 「?」

 「そう。オープニングでこれみよがしに羽広げてんだし、できるでしょ。私はどうも
 こっちの射程外の上空からの攻撃とか、頭の上をくるくる回ってるようなヤツが
 許せないのよ。だからエヴァを飛べるようにして。そうすれば、この私が正々堂々
 とやっつけてやるんだから」

 「赤木君、どうかね?」

 「確かに使徒にできてエヴァにできないとは思いませんが、S2機関を取り込んだ
 初号機以外となると、エネルギーをどうするかが問題になりますね。予備の電源を
 使っても飛べるのは一分も無理でしょうから、実用的ではありませんね」

 「では飛行ユニットを外付けしてはどうかね? 推進力を飛行ユニット自体に持た
 せ、なおかつエヴァの予備電源を搭載すれば稼働時間はもっと延びると思うが」

 「いわゆる『紅の翼』というやつですね。確かに稼働時間は延ばせますがせいぜい
 五~六分です。使徒のいる上空までたどり着く前に活動限界に達します」

 「ではアンビリカルケーブルにもっと柔軟性を持たせ、上空の行動に支障のない
 ようにはできんかね?」

 「アンビリカルケーブルを付けたままで飛ばすつもりですか?」

 「だめかね?」

 「何だか凧上げみたいですね」

 シンジの何気ない一言により、全員の頭の中にその光景が浮かぶ。

 「…………却下だな」

 「ああ、みっともないな。もっとスマートに行かねばならん」

 「エネルギーをどうやって供給し続けるかが問題だな」

 「それならいいアイデアがあります」

 「話たまえ」

 「はい。まず、第三新東京市全域をエネルギーフィールドで覆います。この中に
 いる限り、エヴァには無限にエネルギーが供給され続けますので、アンビリカル
 ケーブルも必要ありませんし、ある程度までなら上空にもエネルギーを送れます」

 「……ねぇリツコ、それって確か、某ペ○タゴナワールドポ○イダル
 やってたアレじゃないの?」

 「あらミサト、良く分かったわね。まさにあれよ」

 「でも、あれって確か生命エネルギーを使うんでしょ? ちょっと問題ない
 かしら?」

 「問題ないわ。核に電気に重力磁力、使える物なら何でも使うわ」

 「はぁ~~~。だいたい、そんなもんほんとにできるわけ?」

 「やってみなければ分からないわ」

 「気楽なもんね」

 「赤木博士、提案があります」

 「あら、レイが発言するとは珍しいわね。何?」

 「使徒がこちらの射程外から攻撃してくるのなら、私が零号機で弐号機を
 使徒に向け、投げつけます

 「んなっ!?」

 ざわざわざわざわ……

 「ちょっとファースト!! 何よそれ!?」

 「弐号機がATフィールドを中和して使徒に取り付き、格闘の末使徒を殲滅。後は
 パラシュートでも装備しておけば、エネルギーが切れても戻って来れるわ」

 「確かに」

 「なかなかいい意見だ」

 「なぁにバカな事言ってんのよ!! 相手が避けたり途中で打ち
 落とされたらどうするのよ! そういう危ない役はバカシンジに
 任せとけばいいのよ!」

 「でも碇君が怪我するといけないから……」

 ムッカーーー

 「じゃあ何! 私は怪我してもいいとでも言いたいわけ!?」

 「あなたは丈夫だもの。平気でしょ」

 ムカムカムカムカムカ……

 「人の意見に茶々入れる暇があるんなら、自分のアイデアでも
 しゃべってみなさいよ!」

 「しゃべっていいの?」

 「ええ、しゃべれるんならね」

 「なら一つ。使徒に対してはATフィールドを中和しつつ接近戦に持ち込むのが最も
 効果的です。ですから、敵にビンタ攻撃を仕掛けます」

 ざわざわざわざわざわ……

 「ビ、ビンタ攻撃!?」

 「斬新だな」

 「ああ、今までに無い意見だ」

 はんたーーーい!!! 絶対に反対!!

 「どうしたのアスカ? ビンタ嫌いなの?」

 「好きなヤツがいるとでも思うわけ!? ほんとバカシンジなんだ
 から!」

 「ビンタビンタビンタビンタビンタビンタビンタ 〃 〃 〃 〃」 (綾波)

 いやーーーっっ!! 耳元で囁かないでーーーっっ!!

 「ミサトさん、アスカってビンタに何か嫌な思い出でもあるんでしょうか?」

 「さぁ、何かトラウマ持ってんじゃないの? それよりも、私はこの会議がいつ
 終わるのか心配だわ。とほほほほ……」

 ミサトが嘆いていると、エヴァの移動距離を増やすために、エヴァ用の車やバイク
 を造ろうという意見が出た。

 車!? はいはいはい!! そういう事なら私にも意見があり
 まーす!!」

 ミサトはこれまでの不機嫌さとうって変わって、目がランランと輝いている。

 結局、ミサトも好きな話になると時間を忘れ、延々と話を続ける『そのスジの人
 だった。

 なお、この日の会議は結局、次の日の朝六時まで続いたという。

 いいのかネルフ? こんな事で……。


 新世紀エヴァンゲリオン-if- 外伝 弐拾五

 最強ロボ エヴァンゲリオンX <完>


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