新世紀エヴァンゲリオン-if-

 外伝 弐拾伍 最強ロボ エヴァンゲリオンX

 - Bパート -


 「……ミサト、何よこの会議は?」 (アスカ)

 「……聞かないで」

 「何だか、みんな楽しそうですね」

 「それがこの会議の目的なのよ」

 「葛城三佐、この会議は一体何ですか?」

 「……仕方ないわね。つまりね、ネルフに入ってくるような人は子供の頃、そう
 いった特撮やアニメを見て憧れてた人間が多いのよ。でも、現実と理想の間には
 大きなギャップがあって、結構ストレス溜まるものなのよ。で、そのストレスを
 解消するために各自が好き勝手に話し合うのがこの会議ってわけなのよ。大丈夫、
 みんな本気でそんな装備作ろうなんて思ってないから心配する事はないわ。ま、
 瓢箪から駒ってことわざのように、意外と新兵器開発に役立つ事もあるんだけど
 ね」

 それを聞いたシンジ達は、あまりの事に頭痛がしてきていた。

 「ま、私がネルフに入った理由はみんなと違うからね。私にとってこの会議は何の
 意味も無いって言うより、迷惑なのよ」

 「迷惑?」

 「だって、こういう話って好きな者同士だと何時間でも話し続けるでしょ。前回
 なんて終わったの午前四時よ。まったく、いい加減にしてもらいたい
 わよ」 はぁ~~~っ

 ミサトの大きな溜め息もものともせず、会議は続いていた。もっとも、溜め息を
 ついたのはシンジ達もだが……」


 「エヴァンゲリオンにもっと親しみを持ってもらうために、を作ってはどうで
 しょうか?」

 「歌?」

 「はい。身長、体重などを分かりやすく歌詞に盛り込むと効果的だと
 思われます。例えば、♪身長~…… あ、あれ? エヴァンゲリオンって
 身長何mでしたっけ?」

 「あなた、それで良くネルフ職員が務まるまね。エヴァの身長は……
 あ、あれ? いくらだったかしら? ど忘れしちゃった」

 「ビルにしがみついてたから、ビルよりは低いんですよね」

 「しかし、山より大きかった時もあるぞ」

 「…………」

 「…………」

 「あ、ここに資料があります」

 「なになに、身長40~200m、体重……」

 「…………いわゆる、ミクロからマクロってやつかしら?」

 「とりあえず歌ってみます。♪身長~四十から二百メ~トル~……」

 「……語呂悪いっすね」

 「……この話はなかった事にします。他に意見のある人はどうぞ」

 「エヴァの装備をもっと充実させましょう! 例えばドリル! 身長
 ほどの長さのドリルを腕に装備して、ATフィールドごと使徒を串刺し
 にして殲滅! まさに熱い男の武器! ドリルで決まりでしょう!」

 「確かに威力は認めるわ。でも、ドリルを装備した機体はもれなくNo.2決定よ。
 歴史が物語ってるわ

 「そうね。シンジ君やレイはともかく、アスカは絶対に装備しないでしょうね。弐号
 機だからちょうどいいのに……」

 「当ったり前じゃない! 私は常にNo.1よ!」

 「確かに……。あ、それじゃあ、腕を交差させて怪しい光線を出して使徒
 を倒すってのはどうでしょうか?」

 「……それはちょっとまずいわね。色んな意味で」

 「活動限界があるし」

 「カラータイ……いや、コアもあるし」

 「身長体重が変えられるし……」

 「セカンドインパクトの時のやつなんてそんまんま光の巨人ですものね」

 「『ヘヤッ!』 とか 『デュワッ!』 とか言いやしないかと冷や冷やしました
 よ」

 「とにかく、この話も危険なのでここでやめます。次の意見をどうぞ」

 「てっとり早く戦力を補充するために、何とかして使徒を拉致監禁、洗脳して
 ど○い獣として戦わせましょう」

 「それも色んな意味で危険ね。せめてマグマ獣にしておきなさい。とにかく、次の
 意見どうぞ」

 「エヴァに前口上を言わせましょう。きっと格好いいですよ」

 「前口上? 例えば?」

 「『世のため人のため、使徒の野望を砕くエヴァンゲリオン。
 初号機の暴走を恐れぬのなら、かかって来い! とか、
 『ダミーシステムの力を借りて、今必殺の、暴走アタック! とか
 いうのはどうでしょう?」

 「ああ、それいい。じゃあ 『ゼーレに代わっておしおきよっ!』 てのは
 どう?」

 「それはいい! ぜひとも葛城三佐に言ってもらって……」

 「でも、葛城三佐はエヴァのパイロットではないぞ」

 「あ、そうか。でも葛城三佐がぴったり合うような気がするんだが……」

 「却下だ!」

 「ああ、そうだな。ゼーレは関係ない。あくまで我々ネルフが主役だ」

 「す、すみません……」

 「では、エヴァのこぶしを光らせたり、唸らせたり、轟かせたりして真っ赤に燃やす
 というのはどうでしょうか?」

 「それは既に一度使ってるから却下ね」

 「こういうのはどうでしょうか。エヴァの体を手、足、頭など各パーツに分けて
 射出。その後空中でドッキングして完成させます。これなら破損個所のパーツ交換
のみで再出撃できますし、各種装備の追加も容易だと思います」

 「う~~ん、確かにいい意見だけど、エヴァは完全に機械ってわけじゃないから、
 バラバラにするのは無理があるわね」

 「じゃあ、零号機、初号機、弐号機の三体による合体変形はどうでしょうか。
 ちょうど三体だし、変形により陸海空などあらゆる地形に対応するようにすれば
 これまで以上の活躍が見込まれます」

 「だからエヴァは……」

 「センパイ、やりもしないうちから諦めてしまうなんてセンパイらしくありません。
 現に、これまで絶対に製品化は不可能と言われていた某ゲッター線で
 動くロボットだって完全変形合体を実現させたんですから、エヴァだって
 やってやれない事はありませんよ。何事も努力と根性ですよ!

 「そうね。確かにマヤの言う通りだわ。やりもしないうちから諦めるなんてマッド
 の名が泣くわね。早速研究してみるわ」

 「それでこそセンパイです!」

 「はいはいはーーーい! その場合は当然、頭と操縦権はこの私、
 惣流アスカラングレーのものよね! 何しろ日本じゃがリーダーと
 決まってるし、私のカラーは燃えるような赤。まさに私のためにある
 色よねー!」

 「しかし、白がリーダーだったグループもいたよな」

 「ああ、それに、青の方が人気が出てしまうというのも良くある話だしな」

 「うるさいわね! 今も昔もリーダーは赤! それは揺るぎない
 大宇宙の法則よ。だから頭は絶対に私なの! いいわねシンジ、
 ファースト!」

 「はぁ~~~。僕は別にどこでも構わないよ」

 「私も碇君と一つになれるのならどこでも構わないわ」

 「ええ? あ、綾波?」

 「ちょっとファースト、何よその言い方。いやらしいわね」

 「そう? 良く分からないわ」

 「……シンジ、お前にはじっくりと話がある。後で体育館裏まで一人で来い」

 「こ、怖いよ父さん。だいたい、体育館裏ってどこだよ」

 「碇、大人げないぞ」

 「……ああ、分かっている。それよりシンジ、お前はなぜここにいる?」

 「え?」

 「ここは会議の場だ。意見がないのなら出て行け。あるのならちゃんと発言しろ」

 「あ、う、うん……。それじゃあ……一つ、いいかな?

 「話してみろ」

 「あの……」


 <つづく>


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