新世紀エヴァンゲリオン-if-

 外伝 弐拾伍 最強ロボ エヴァンゲリオンX

 - Aパート -


 ネルフ内ミーティング室。

 ミサト、シンジ、レイ、アスカの四人がミーティングをしているところに、リツコ
 がやって来た。

 「あらミサト、まだミーティング終わってなかったの? そろそろ会議の始まる
 時間よ」

 「会議? 今日何かあったっけ?」

 「何言ってんのよ。今日は第十七回エヴァンゲリオン特殊装備提案会議
 日じゃないの。忘れたの?」

 「げ。あれ今日だったの……。すっかり忘れてた」

 「リツコさん、何ですか、それ?」

 「ん~ そうね。あなた達パイロットの意見も取り入れるべきね。三人とも出席
 しなさい。そうすればどんな会議かすぐに分かるわ。ほらミサト、行くわよ」

 「とほほほほ……」

 何やら嫌がるミサトの手を引いて進むリツコの後を、シンジ達は不審に思いながらも
 付いていった。

 そして会議室に入ると、ゲンドウ、冬月を始め、ネルフの主だったメンバーは殆ど
 集まっていた。


 「それでは、ただいまより第十七回エヴァンゲリオン特殊装備提案会議を始めたいと
 思います。各自、自分のアイデアを出して下さい。なお、最優秀アイデアを出された
 方には、碇司令より特別に有給休暇が与えられます。では、今回議長を務めさせて
 頂く、私のアイデアから述べさせて頂きます」

 そう言ってリツコはモニターのスイッチを入れる。そこには、エヴァ三体と使徒が
 映し出されていた。

 「これまで我々はATフィールドを防御手段として、もしくは相手のATフィールドを
 中和するためだけにしか使っていませんでした。ですが、使徒の中にはこのATフィー
 ルドを攻撃手段として使ってきた者が数体います。
 例えば、第十使徒サハクィエル。こいつはATフィールドで監視衛星を破壊したり、
 自分の体の一部をATフィールドで包み、爆弾として使用していました。
 また、第十五使徒アラエル、こいつはATフィールドに似た性質の光で直接精神に
 攻撃してきました。
 さらに第十六使徒アルミサエル、こいつは零号機のATフィールドを中和する事なく
 直接侵入してきました。これは、ATフィールドを先端に集中して突破してきたもの
 と考えられます。

 (作者補足:この話は話の展開上、レイが自爆しても死ななかった事になっていま
 す。また、劇場版の設定も入ってます。ご都合主義丸出しですが、まぁこれも一つ
 の可能性という事で)

 これらの事を踏まえて、エヴァもATフィールドを攻撃手段に使えないかと考えまし
 た。マギによるシミュレーションの結果、攻撃に最も適しているのがアルミサエル
 の形、つまり円形が一番有効と判断しました。
 そこで、エヴァの周りにATフィールドを収束させたリングを作り出し、
 攻撃に使います。名付けて……

 超電磁フラフープ」 (古い)


 ざわざわざわざわざわざわ……

 「ちょ、ちょうでんじ……フラフープ?」

 「あの……リツコさん、フラフープって何ですか?」

 「ふっ……そういう質問が来るとかと思って用意しておいたわ。これよ!

 そう言ってリツコは得意そうにフラフープを取り出す。

 「そんなワッカ一体何に使うのよ? 使徒にぶつけるわけ?」 (アスカ)

 「八つ裂きギ○チンか?」

 「いや、あの上に乗って高速移動しようというのかも知れん」

 「新体操技を使った攻撃かも」

 「リツコ、ちゃんと説明しなさいよ」

 「フラフープって言ったでしょ。こう使うのよ」

 そう言ってリツコは腰を回し、フラフープを回して見せる。

 「あらリツコ、うまいじゃないの」

 「ふっ……これでも子供の頃は フラフープ リッちゃん って呼ばれた
 ものよ」

 「後で私もやらせてよね」

 「ええ、いいわよ」

 「で、まさかそれをエヴァにやらそーってんじゃないでしょーね?」 (アスカ)

 「もちろんそうよ。この超電磁フラフープの回転によって、近くの使徒を叩っ切る
 のよ」

 「…………」 (シンジ)

 「……」 (レイ)

 「………………」 (アスカ)

 「なるほど! 斬新な意見だ! これならば使徒も迂闊に近寄れまい」 (ゲンドウ)

 「なーぁに考えてんのよ!? そんなみっともない事、私の弐号機
 にもやらせようってんの!?」

 「あら、エヴァはスタイルがいいからきっとうまくいくわよ」

 「そういう問題じゃなーーーいっ!!」

 「あの……リツコさん、でもそれだとアンビリカルケーブルが切れちゃうんじゃ
 ないですか?」

 「さすがシンジ君ね。それがこの超電磁フラフープの唯一にして最大の欠点
 なのよ」

 「じゃあ何でそんなもん発表するのよ!!」

 「本命前の軽いアイデアよ。今から発表するのが本命よ」

 ケロっとそう言うリツコ。

 「…………疲れる」 (アスカ)

 「…………でしょ」 (ミサト)

 「では、改めて本命のアイデアを述べさせて頂きます。攻撃のためにATフィールド
 を中和するなんて面倒くさい事をせずに、一気に敵のATフィールドの内部
 に侵入し、これを殲滅、という画期的なシステムを提案します。名付けて……

 次元波動超弦励起縮退半径跳躍重力波超光速航法


 「じ……じげん……はどう……げいき……って、何よリツコ、そのやたら面倒くさい
 漢字の固まりは?」

 「ミサト、分かってないわね。日本人に生まれた以上、こう、ずら~~~っと漢字が
 並んでいるのは一つの美学なのよ」

 「そりゃあ分からなくはないけど……それじゃあ何であんた、髪染めてんのよ」

 「それはそれこれはこれよ」

 「あっさり言い切るわね……。ところでリツコ、もっと省略して言えないの? ほら
 ATフィールドとかLCLとか。あんまり長いと使う時不便でしょ。言うのも面倒くさい
 し……」

 「しようがないわね……。一言で言うなら『ワープ』よ」

 「一言で言えるんなら最初からそう言いなさいよ! 大体、これを
 転記するのにどれだけ手間取ったと思ってんのよ! ワープなら
 たった三文字じゃないのよ!」

 「だから言ったでしょ。美学だって」

 「こ、この女……いつか殺そう」

 「さて、私のアイデアは以上です。各自、手を挙げた後に発表して下さい」

 リツコがそう言うと、周りの人々はこぞって自分達のアイデアを話し始めた。

 「前から思ってたんですが、ワンダバシーンをもっといろんなパターン作りま
 しょう」

 「ワンダバシーン? ああ、出撃プロセスの事ね。それで、どういったのが
 いいのかしら?」

 「まず、脱出装置しか付いていないエントリープラグに、ちゃんとした飛行力を
 持たせます。そして出撃時には、芦ノ湖に渦巻きを発生させ、その中からエヴァを
 空中に射出し、エントリープラグとドッキングさせます。
 ファイヤー……じゃなかった、エントリー オン!! の声とともに、
 背景に雷でも発生させりゃー、もー燃えるシチュエーションになります
 よ!」

 「それだったらエヴァの頭の部分を公園のオブジェとして街の中に出しておく、
 ってのはどうだ? 市民の皆さんに慕われる事になるぞ」

 「しかし、整備とか機密保持の面から考えると問題が多いわね」

 「じゃあ、兵装ビルの形をエヴァの顔にしましょう。そして出撃時には
 その顔が真ん中から割れて中からエヴァが出てくる。その際、
 エヴァの額から光線を出してパイロットを乗せる。ここまでやれば
 完璧ですよ」

 「いやいや、それならバイクに乗って呪文唱えなきゃ」

 「いっその事 出ろぉ!! エヴァンゲリオン!! とか言って
 呼び出すとか」

 「エヴァンゲリオン! カムヒアー!! ってのもいいんじゃ
 ないか」

 「いやー燃えるなー」

 「まったくだ」

 「…………ミサト、何よこの会議は?」 (アスカ)

 「……聞かないで


 <つづく>


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