※ 今回の話は、TV版弐拾参話「涙」からの続きです。
かつて第三新東京市と呼ばれていた街……いや、今でもそこは第三新東京市と
呼ばれてはいる。しかし、そこには都市としての機能は無かった。
零号機の自爆で街の大部分は吹き飛び、芦ノ湖から流れ込んだ水が、爆心地を中心に
溜まりつつあった。
……そんな水辺の廃屋の一つに、アスカはたたずんでいた。
「……シンクロ率ゼロ。……セカンドチルドレンたる資格なし……。無くし
ちゃったんだ……何もかも。……もう私には何も無いんだ……」
アスカにとって、エヴァを動かす事ができるという事は、世界中から選び抜かれた
エリートの証だった。
だが、今のアスカはエヴァを動かす事すらできなくなっていた。
だから逃げ出した。マンション、ネルフ、全てから。
「私はもう、誰からも必要とされない、価値の無い、いらない人間なんだ……」
悔しかった。切なかった。寂しかった。
そして、どうしようもなく悲しかった。
どうせ死ぬなら、弐号機のパイロットとして死にたい……。
……自らの死をも考えるアスカ。
そこに現れる救いの手。
アスカの中で、二つの心がせめぎあう。
結果、アスカはそれをも拒絶する。
しかし、運命のシナリオは、アスカを見放さなかった。
外伝 九 アスカ、逃げ出した後
Aパート 1997年5月7日(水)公開!