「おはよう、レイ」
「あっ、おはよう、あなた」 ニコ
「ちょうど朝食の準備が出来たから、今から起こす所だったの」
そう言って、朝のキスを交わす。
二人が結婚してから既に半年が経っていた。
「ふふふ……」
「どうしたの?」
「また、あの日の事を思い出していたの」
「ああ、あの日の事か」
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あの日。
それは、シンジ達が三年に進級して間もない日の事だった。
レイは誰とでも分け隔てなく話せるようになり、クラスの人気者になっていた。
「ふぅ……」
レイは溜め息をついていた。そんなレイを見てヒカリが声を掛ける。
「どうしたの、綾波さん?」
「え? ああ、洞木さん」
「また何か悩み事?」
「……うん」
「今度は何? 私が相談に乗るから言ってみて」
「……ありがとう。あの……絶対に誰にも言わないでね」
「もちろんよ」
「実は……今日は何曜日か忘れたの」
「なんだ、そんな事。今日は『日曜日』よ。それがどうかしたの?」
「そう、それじゃまだ先ね」
「何が?」
「水曜日が」
「そうね。まだちょっと日にちがあるわね」
「じゃ、この続きは水曜日に教えるわ。じゃ」
外伝 壱 先行公開編 <完>