新世紀エヴァンゲリオン-if-

 海の完結編 Gパート (最終回)


 「シンジ! あんたまさかレイの裸を思い出してんじゃないでしょう
 ね!?」


 『ぎっくぅ……!』


 「な、何言ってんだよ、アスカ。そ、そんな事あるわけないだろ」

 「……じゃあ、今のぎっくぅ!ってのは何よ?」

 「き、気のせいだよ、気のせい。あははははは」

 シンジはあぶら汗をダラダラと流していた

 「ふふふ。ほんとシンジ君って正直な体してるわね~。一切嘘が付けないタイプね」

 「……碇くん……」 ぽっ

 「あんたもいちいち赤くなってんじゃないわよ。大体、何が『命令なら』よ。
 昔と言い方が全然違うじゃないのよ」

 「そうかな?」

 「いつもいつも私が言ってるでしょ。命令されたからって何でもほいほい引き受ける
 んじゃないって。嫌な命令や無茶な命令は断ればいいんだから」

 「私は別に嫌というわけじゃないんだけど……」

 「何であんたはいつもそうなのよ!? 男の前(特にシンジの前)で
 下着姿や裸になっちゃいけないって教えたでしょ! それとも何、
 シンジに裸を見られてもいいって言うの?」

 「碇くんなら構わないけど……」

 「え?」

 「ほぉー」

 「どーしてそういう発想するのよ!! 何でシンジに見られても
 いいと思うわけ!?」

 「だって……私も碇くんの裸見たことあるから……」 ぽっ

 「え!!」

 「ほー」

 ちょっとシンジ!! どういう事よ!? 何でレイが
 シンジの裸を見た事あるのよ!? まさか二人で何かあった
 わけ!? 黙ってないで何とか言いなさいよ!!

 「……あのね、アスカ。気持ちは分かるんだけど、そんなに首絞めてたらシンジ君、
 しゃべりたくてもしゃべれないんじゃないかな? それに、そろそろ息させないと
 危ないわよ」

 「え?」

 見ると、シンジは真っ青になっていた。

 「ちょ、ちょっとシンジ! 何やってんのよ! 早く息しなさい!」

 アスカは慌てて手を放した。

 「碇くん! しっかりして、碇くん!!」

 「げほ げほ げほ……あー死ぬかと げほ 思った

 「アスカ、ひどいじゃないの。碇くんの首を絞めるなんて」

 「あんたがさらりと爆弾発言するからよ! 一体いつ、シンジの裸
 なんて見たのよ!?」

 「ヤシマ作戦の時」

 「は?」

 「アスカが日本に来る前にそういう作戦があったの。その時、碇くんは使徒の攻撃で
 入院してたから、私が作戦スケジュールを伝えに行ったの。その時に偶然……

 そう言ってレイはまた赤くなる。

 「あ、そっか、あの時……」

 そう言い、シンジも赤くなる。

 「そう言えば、レイに頼んだんだったわね。食事と着替えのプラグスーツも届ける
 ようにって」

 「はい」

 「確かあの時って集中治療室からそのまま病室まで運んだから、シンジ君何も
 着てなかったんだったわね。映画では服着てたけど」

 「はい、だから私は碇くんの裸を見た事があるから、私の裸を見られてもいいん
 です。おあいこだから」

 「なるほど」

 「『なるほど』じゃないわよ。騒ぎの影には必ずミサトがいるわね。いい加減にして
 欲しいわね、まったく……」

 「まぁまぁ、そんなに起こらなくてもいいじゃないの。あ、そうだアスカ、あなたも
 シンジ君の裸見たい? 見たいんなら見せてあげてもいいわよ」

 「な、な、何言ってんのよ!?」

 「そ、そうですよミサトさん。いきなり何言うんですか?」

 「だから、さっきも言ったでしょ。レイとアスカが喧嘩しないように、二人の
 立場を平等にしておこうと思ってね。私もシンジ君の裸見た事あるし。
 アスカだけ見た事ないんじゃ不公平でしょ」

 「ま、でも、それだとアスカもシンジ君に裸を見せて押し倒されないと
 いけないわね。どーするアスカ? 私とレイは隣の部屋にでも隠れててあげよー
 か?」

 ミーーーサーーートーーー!!

 「あははははは。さーて、今日の世界情勢はどーかしらねー。新聞、新聞っと」

 ミサトはそう言って玄関に向かって走っていった。

 「まったく、言いたい事言って都合が悪くなるとすぐ逃げるんだから。よくネルフは
 あんなの雇ってるわね。私が司令なら今日付けでクビだわ」

 「そっか。ミサトさんも碇くんの裸を見た事あるんだ……。だからいつも碇くんの
 前であんな薄着でいるのかな? 碇くんの裸を見たから自分も見られてもいいと思
 って……。私と同じなんだ」

 「レイ、その発想は今すぐやめなさい。それと、ミサトは女にとって、いえ、人類に
 とって例外中の例外よ。あんなの参考にしてたら人生終わるわよ」

 「そ、そうなの?」

 「そうなの。ミサトに何か言われたら、絶対に私に確認取りなさいよ、いいわね!

 「う、うん」

 あまりの迫力に、レイはただうなずくだけだった。

 「あ、あのさ、二人とも」

 「ん?」

 「何、碇くん?」

 「だから、その……僕の事気にしなくていいから、ゆっくりとお風呂入ってくれば
 いいよ。僕はその間に朝ご飯作っておくから」

 「そう? ありがと。ま、できるだけ早くするわ」

 「ありがと、碇くん」

 「どうするレイ? 先に入る? 私は後でもいいわよ」

 「アスカが先でいい。私は碇くんと朝ご飯作るから」

 「じゃあ、先、使わせてもらうわね」

 「じゃあ、碇くん、朝ご飯作ろ」

 「うん、そうだね」

 ・
 ・
 ・

 こうして葛城家の、賑やかで慌ただしい朝が始まった。

 アスカがいつもより随分とシャワーを終えたため、シンジとレイもそれぞれ食事を
 取り、シャワーを浴びる事ができた。


 そして、三人は支度が終わり、玄関を出る。

 「じゃ、行ってきます。ペンペン、行ってくるね」

 そう言ってレイはペンペンの頭を撫でる。

 「クゥ~~~」

 「行ってくるわね」

 「それじゃあミサトさん。行ってきます!」


 そして、シンジ達の学園生活が再開される。


 新世紀エヴァンゲリオン-if-

 海の完結編(第八部) 


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