新世紀エヴァンゲリオン-if-

 外伝 弐拾四 シンジハチャメチャ! 酔いどれてプッツン

 - Gパート - (最終回)


 「スバリ 口移し! これしかないわ」

 「え……」 ぽっ

 「な~~~に考えてんのよミサト!! バカじゃないの!?」

 「そ、そうですよミサトさん、からかわないで下さいよ」

 「いいじゃないのそれくらい。アスカだってシンジ君に抱きついてるんだし、レイが
 シンジ君ににキスするくらい見逃してもいいじゃないの?」

 「だ、誰が抱きついてんのよ!? シンジが逃げないように捕まえ
 てるだけじゃないの!」

 「後ろから羽交い締めにしてるって事は、身体を密着させまくってるって事よ。
 抱きついてるのと変わらないわよ。シンジ君だってアスカの胸を背中に感じてる
 はずよ」

 「ええ!? こ、これって……そ、そうなの!?」 かぁ~っ

 「ば、ばか! 変な事考えるんじゃない!」 かぁ~っ

 「あ~ら、それでも離れないのね~アスカちゃん」 にや~~~

 「う……そ、それは……」

 「ミサトさん、どうしたんですか今日? 朝から何か変ですよ。一体どうしたんです
 か?」

 「そんなの決まってるじゃない。私一人不幸になんてならないわよ。あのオヤジも
 道連れにしてやるの。そのためにはまずシンジ君、あのオヤジからレイを奪い
 なさい

 「は?」

 「な な なっ!?」

 「シンジ君がレイを奪い、司令をいじめぬく。完璧ね」

 「奪ってね碇君……私を……」 ぽっ

 「え?」

 プシュ。 ぐび ぐび ぐび…… (飲んでる音)


 んちゅ~


 『んんっ!?』

 レイはミサトに言われた通り、ビールを口に含むと、シンジの頬を優しく両手で
 包み込み、口移しでビールを流し込む。

 「あああーーーっ!」

 「いょっしゃぁーーーっ!」

 「んぐ、んぐ……」

 あまりの事にシンジは思考が停止し、抵抗する事もできず、口の中のビールを飲み
 込んでしまう。

 「……アスカ、離して」 (シンジ)

 「え? は、はい」 (アスカ)

 決して威圧的な言い方ではないのだが、シンジの声にはどこか逆らえないものが
 あり、アスカは素直に手を離した。

 そして、身体が自由になったシンジは、レイの手の中にあるビールを取ると、一気に
 飲み、さらにレイの口の中に流し込む。

 「んんっ!?」

 『碇……君……? 碇君が私に……キス……してくれてる……』

 レイもあまりの事に、口の中に流されてくるビールを飲み干してしまう。

 あああーーーっ!!

 「おおおーーーっ! 予想外の展開! やるわねシンジ君!」

 「さっきのおかえし」 にっこり

 「碇君……」

 レイの顔が真っ赤なのは、決してビールの影響ではなかった。

 「碇君、忘れないでね。今度は……今の事、忘れちゃ嫌だから……。覚えていて
 ね……。私は……絶対に忘れないから……」

 「うん、覚えているよ綾波。約束するよ」

 「ほんと? 嬉しい」 にこっ

 「そうね、昨日はあれだけビールを飲んでたから仕方ないけど、今は口移しの分
 だけだし、覚えている可能性は高いわね。酔いだってすぐに覚めるだろうし……。
 良かったわね、レイ」

 「はい!」

 「……冗談じゃないわよ。こんな事覚えられちゃあ迷惑よ。シンジ、昨日みたいに
 ガバガバ飲みなさいよ。それとファースト、あんたもとっとと飲んで忘れなさい」

 「なにアスカ? ひょっとしてヤキモチ?

 「な、何言ってんのよ! あんたバカぁ!? 何でこの私があんた
 なんかにヤキモチ妬く必要があるのよ!? のぼせるんじゃない
 わよ!」

 「じゃあ、なぜあなたは怒ってるの?」

 「いいからファーストはどんどん飲みなさい!」

 「イヤ。私は今の事忘れたくないもの。でも、碇君が同じ方法で飲ませて
 くれるのならいくらでも飲む」

 「な、何ですってーーーっ!?

 『う~ん、レイったら完全に酔ってるわね。今のってキスの要求よね……。二人
 とも、ほんとお酒に弱いわね』

 「そうなの綾波? じゃあ早速……

 「嬉しい」

 だーっ! ふざけるんじゃないわよ!」

 「いいじゃないか別に」

 「問題ないわ。さぁ、碇君……

 止めろって言ってるでしょーーーっ!!

 「アスカ、このままじゃあなたが不利よ。同じ世界に行きなさい

 「え?」

 「隙あり!!」

 「んぐっ!?」

 ミサトはアスカの隙をつき、一気にビールを飲ませる。 (手でです。念のため)

 んぐ んぐ んぐ …… ぷはぁーーーっ  くらくら

 「…………シンジ、ファーストの口移しが受けられて、私のは
 ダメってこたーないわよね?」

 「おー、アスカも完全に酔っぱらったわね」

 「だめ。碇君には私が飲ませてあげるの」

 「いいじゃない、別に」

 「だめ」

 「ふん! ファーストの許可なんて必要ないわよ」

 ぐびぐびぐびぐび……


 んちゅ~~~っ


 あーーーっ! 私の碇君に何するのよ!?」

 「私の勝手でしょ。それに、あんたのじゃないわよ。私のよ

 「違うわ、碇君は私のよ。碇君、口直し


 ちゅ~~~


 「こ、こら! ビールもなしに!!」

 「ね、碇君、お返し。今度は碇君から私にして」

 「それは私が先よ!!」



 「……面白い事になってるわね」

 「リツコ? ねぇリツコ、この子達って異常にお酒に弱いわね。口移し一回で本気で
 酔ってるわよ。どう見ても演技じゃないようだし」

 「LCLに漬かっているうちに、そういう体質になったのかもね。シンジ君も幸せ者
 ね」

 「そうね。今回は二度目だし、きっと覚えてるわよ。レイやアスカは覚えてるの
 かしら。楽しみね。……ところであなた達、キスはそれくらいにして、碇司令を
 困らせてきなさい。何しろこっちにはゼーレが付いてるから、何でも要求し放題よ」

 「は~い」×3

 「碇君、行こ」

 と言って手を繋ぐ。

 「うん、父さんをこらしめなきゃ」

 「ふっふっふっ……腕が鳴るわ。日頃のうっぷん晴らしてやる」

 三人はやる気満々でゲンドウの部屋へ向かった。


 「さーてと、早速ネルフ中への放送の準備しなきゃね」

 「司令の前で今のようにシンジ君とレイがキスしたらどう反応するかしら。楽しみ
 ね~~~」

 『フフフフフ……。全てのレイのダミーに今のレイのパーソナルを移植済よ。これ
 でもうレイは司令の言う事は聞かないわね』

 ミサトの言うように、バックにはゼーレがいるので、ゲンドウも逆らう事ができず、
 毎晩毎晩、冬月相手に泣きながら愚痴をこぼしたという。

 なお、リツコの言うように、シンジはノーマル時にも結構強気になってきたため、
 レイとアスカがベタ惚れし、ますますゲンドウは落ち込んだという話である。


 新世紀エヴァンゲリオン -if- 外伝 弐拾四

 シンジハチャメチャ! 酔いどれてプッツン <完>


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